ニュース速報

ビジネス

米雇用統計で「忍耐強く」削除濃厚に、6月利上げに布石か

2015年03月07日(土)08時55分

 3月6日、米雇用統計を受け、FRBが今月のFOMCで「忍耐強く(patient)」の文言を削除し、6月利上げへ布石を打つとの見方が強まっている。写真はワシントンのFRB建物。2012年8月撮影。(2015年 ロイター/ Larry Downing)

[ニューヨーク 6日 ロイター] - 予想を上回る2月の米雇用統計を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利の道筋を示すフォワードガイダンスから「忍耐強く(patient)」の文言を削除し、6月の利上げに向けて地ならしを行うとの見方が強まっている。

2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が29万5000人増と、予想の24万人を上回って増加したほか、失業率は2008年5月以来の水準となる5.5%に低下。今年に入り厳しい寒波に見舞われた米国だが、昨年とは違い、景気に減速の兆候が出ていないことを示した。

米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁はこの日、「今回の雇用統計を受け、利上げ開始時期として6月が最適だと考えている」と述べている。

雇用統計を受けて、米国債利回りは大幅上昇。フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、まだ9月利上げを見込む向きが多いが、6月利上げの見方も強まった。

CMEグループのフェドウォッチによると、FF金利市場が織り込む6月利上げの確率は21%と、前日の16%から上昇した。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートの資産配分責任者、トレーシー・マックミリオン氏は「予想を大きく上回る今回の雇用統計で利上げ開始時期が早まった」とみる。

またブラックロックのファンダメンタル債券部門の最高運用責任者(CIO)、リック・リーダー氏は「すべてのサイン」は6月か9月の利上げを示していると指摘する。

だが2月の時間当たり賃金は0.03ドル増、前年比では2%増にとどまり、賃金の伸びはなお鈍い。FRBは最近、利上げ時期を左右する要因として、弱いインフレへと焦点をシフトさせており、賃金やインフレの弱さで、FRBが利上げを思いとどまる可能性もある。

FRB当局者の過半数近くが6月利上げの可能性を排除しない。だが海外経済がディスインフレの状況にある中でも、賃金やインフレを十分に押し上げられるほど失業率が低下したのか、見極めの困難な課題が当局者を根強く悩ませている。

FRBが1月に示した当局者の長期失業率予想(中央値)は5.2━5.5%で、2月の失業率はFRB当局者が完全雇用と見なす範囲内に入った。だが一部の当局者は最近、長期失業率予想を引き下げている。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも43人死

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加 ミサイ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 10
    トランプに弱腰の民主党で、怒れる若手が仕掛ける現…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中