ニュース速報

ビジネス

GDP10─12月下方修正か、設備投資据え置きでも在庫など下押し

2015年03月02日(月)12時09分

 3月2日、財務省が2日発表した2014年10─12月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比2.8%増となり、7期連続の増加となった。写真は東京の建設現場に並ぶ重機。2014年8月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 2日 ロイター] - 財務省が2日発表した2014年10─12月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額は全産業で前年比2.8%増となり、7期連続の増加となった。

製造業では円安効果で過去最高益となったことを背景に、能力増強投資がけん引した。ただ前期比ではわずか0.6%の増加と勢いは弱く、特に非製造業の設備投資は停滞感がある。国内総生産(GDP)2次速報で設備投資に修正はない見通しだが、在庫投資や公共投資の下押しから全体の成長率は下方修正となりそうだ。

設備投資額は、製造業で前年比8.0%増。7─9月の前年比10.8%増に続き、力い強い伸びとなっている。前期比(ソフトウエアを除く)でみても、7─9月の2ケタ増の後も伸びは鈍化しつつも増勢は維持した。前期比では1.8%増。

医薬品関連の研究開発や生産能力増強、電機の生産自動化投資、情報通信機械のスマートフォン向け生産能力増強など、能力増強投資がけん引している。

背景には、円安効果による需要増や収益増などがある。製造業の10─12月経常利益は1954年の統計開始以来の過去最高益となった。

一方で、非製造業の設備投資は7期連続の増加ながら、前年比0.3%増と微増にとどまった。テーマパーク施設や飲食店新規店舗での投資、鉄道新型車両などの投資はあったが、電力関連投資や情報通信用基地局投資などで前年の反動が出た。前期比では0.1%減とわずかながらも2期連続の減少となり、さえない。

経常利益は好調で、前年比8.3%増と7期連続の増益。前期比でも7.7%増と前の期の減益から転じて増益となった。

規模別にみると、10─12月期は資本金10億円以上の大企業に比べ、資本金1億円以下の中小企業で売上や経常利益の伸びが高かった。売上高経常利益率も、中小企業では昨年4─6月期以降3%未満が続いたが、10─12月期は4.1%まで改善した。

10─12月期国内総生産への影響について調査機関の間では、1次速報値の前期比0.6%・年率2.2%から、2次速報でやや下方修正されるとの見方が目立つ。設備投資の伸びは1次速報値とほぼ変わらないものの、在庫投資や公共投資が下方修正され、成長率全体としては下方修正されるとの見通し。

2次速報値について、農林中金では前期比0.5%、年率2.2%と下方修正を予測。設備投資は上方修正ながら、在庫投資と公的固定資本投資が下方修正されることによるものという。

みずほ証券でも前期比0.5%、年率1.9%と下方修正を予測。設備投資がマイナス0%に下方修正、民間在庫品投資、公的固定資本投資も下方修正されるとみている。

三井住友アセットマネジメントでは、前期比0.5%、年率1.9%と予測。設備投資は変わらないものの、在庫投資や公的資本形成が下方修正されるとみている。

法人企業統計は四半期ごとに調査が行われ、資本金1000万円以上の法人企業が対象。

*内容を追加します。

((ロイターニュース 中川泉 編集:佐々木美和))

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:トランプ氏の自動車関税、支持基盤の労働者

ビジネス

2025年度以降も現在の基本ポートフォリオ継続、国

ビジネス

TSMC、台湾で事業拡大継続 新工場は7000人の

ビジネス

午後3時のドルは149円付近に下落、米関税警戒続く
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中