コラム

親馬鹿カダフィ、息子のために就活中

2009年10月13日(火)15時33分

pass031009.jpg

偉大な父? カダフィの後継者とされる次男セイフ。自身が描いた父の肖像画と共に(02年)
Kieran Doherty-Reuters


 リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ大佐の息子セイフは、このほどロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに博士論文を提出した。博士号取得が見込まれるセイフに、ようやく家業に本腰を入れるときが来たようだ。仏通信社アジャンス・フランス・プレスによると:


 カダフィ大佐は、次男のセイフ・アルイスラム・カダフィに政府の職を用意するよう政府高官らに命じたと、7日付けのリビアのアルヨウム紙(電子版)が報じた。カダフィが言うには、自分の後継者とされる次男が公職に就いていないことが「セイフの活動を妨げている」らしい。

 同紙は会議の出席者の言葉を引用し、こう報じた。「カダフィ大佐は何千人もの地方役人や人民委員会の委員に、セイフがここ数年主導してきた改革計画を実行するための公職ポストを用意するよう頼んだ」。


 セイフは、ここ数年で父親が進めてきた近代化や欧米との和解といった動きの原動力だったとみられている。セイフが主張する「グローバルな民主主義」は、先月カダフィが国連演説でまくしたてた安全保障理事会批判に少しは反映されていたかもしれない。もっとも、この主張はカダフィの行き過ぎた言動のせいでかすんでしまったが。

 リビアが今後すぐに自由民主主義に向かって動き出すことは、おそらくないだろう。だがセイフが後継者となるべく動き始めているのだとしたら、風向きは良好と言っていい。特に、兄弟のハンニバルという選択肢を考えればなおさらだ。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年10月08日(木)18時45分更新]


Reprinted with permission from "FP Passport", 8/10/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story