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コラム
池上彰Newsweek斜め読み
オバマは「民主党のレーガン」!?
現在アメリカ大統領選挙取材のためにアメリカに長期滞在中ですが、一時帰国して、日本版の最新版を手にしました。10月17日号です。
ここで目についたのが、『「嫌われオバマ」2期目のシナリオ』の記事です。これは、アメリカ本国版では前の号に掲載されていました。本国版を読んだときは驚きましたね。なにせタイトルが「WELCOME BACK TO THE WHITE HOUSE, MR.PRESIDENT」だったのですから。「大統領、ホワイトハウスにお帰りなさい」つまり、オバマが再選されたかのようなタイトルだからです。
本誌はオバマ再選を予想しているのか、熱望しているのか、と思わせるタイトルです。
本文を読むと、オバマ勝利を確信しているというより、もし再選を果たせば、オバマは「民主党のレーガン」になれる、というものでした。
これは、なかなか言い得て妙ですね。かつての共和党大統領だったロナルド・レーガンは、1期目は「試行錯誤の連続」で、支持率低下に苦しんだが、2期目は大きな成果を上げた。「オバマの1期目はレーガンのそれととても似ている」「あと4年の時間があれば、オバマはもっと先まで行ける」というわけです。
この記事の最後には、次のような文章が来ます。「オバマの改革は、これから収穫の時期を迎える。経済の回復が追い風になるだろう」、「オバマと一緒に、私たちも収穫の時期を迎えようではないか」。
なんだ、やっぱりオバマ再選を熱望しているのですね。
この週の号は、これだけではありません。『ロムニーの2つの顔どっちが本当か』の記事は、ロムニーに厳しいトーンだし、『保守系メディアは空騒ぎがお好き』は、オバマを批判する保守系メディアを批判しています。
うーむ、やっぱり「ニューズウィーク」はオバマが好きなのですね。
でも、最近の共和党の政策の支離滅裂ぶりやロムニーのカメレオンのような発言の変化、嘘をまぶしたライアン副大統領候補の演説を見ていると、ニューズウィークの気持ちがわかります。
それでも、最近の世論調査では、オバマとロムニーの支持率は拮抗し、なかにはロムニーがオバマを上回った数字も出ています。
冷静に分析すればオバマが優れているのでしょうが、優れていれば大統領になれるというわけではないことは、ジョージ・W・ブッシュ大統領の当選を見れば明らか。
さて、どうなるのでしょうか。急激に寒くなってきたニューヨークに戻って観察を続けることにします。
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