コラム

SNS上の顔写真を100億枚以上学習したAIの顔認識アプリが物議

2021年10月21日(木)17時31分

一方でプライバシー保護の観点から問題が指摘されている。例えば合法的な反政府デモに参加する際にマスクで顔を隠していても政府に身元がバレてしまう可能性がある。ストーカーに盗撮されて身元がバレるケースも想定される。

このためプライバシー保護の観点から、同社を相手取った訴訟が既に何件か起こっている。人権団体ACAU(米公民権連合)は2020年9月、個人を特定できる身体情報を不法に取得することを禁じたイリノイ州の法律に違反するとして、同州地裁に同社を提訴している。

またニューヨーク州、カリフォルニア州でも同社を相手取った集団訴訟が起こっているほか、facebookやTwitterではサイトにアップされた写真の利用の中止を文書で同社に要求しているという。

とはいっても顔認証AIの技術を持つのはClearView社1社だけではないし、今後も顔認証AI技術は急速に進化していくことだろう。ClearView1社だけを規制すればすむ話ではない。

このためニューヨーク市警では、顔認証技術の使用に関するガイドラインを策定。同社のような顔認証AIサービスを利用するには、一定の上級役職の許可が必要で、テロ対策などの特定の用途に限定するなどと規定している。しかしガイドラインを個々の組織に任せるのではなく、社会としても一定のガイドラインを策定する必要があるのかもしれない。


プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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