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日々のSDGsと多様性 - ポートランド・コーディネーター手帳

山本彌生|アメリカ

ポートランド、自分らしい仕事と愛のかたち。生きかた働きかた

JingWei on teh glass.jpegPhoto | JingWei

| 二人の出会い、そして開放

「大学院生だった当時の私は、ほとんどの時間をコーディングの勉強に費やしていました。ある日、あまりにも自分の生活がデジタルや数学的になりすぎていると感じたのです。そこで、切り替えのためにブッククラブに参加をしました。会のリーダーをしていたのフゥアに出会い、聡明で優しい彼女に恋をしたのです。その後、付き合いが始まり8ヵ月後にプロポーズ。正式に州の認証を受けて結婚をしました。」

ジンウェイさんが、自分のセクシュアリティに気づいたのは15歳の頃。しかしその思いは、自分の内に秘めるよう努めていました。ついに意を決して、カミングアウトしたのは大学に入った時。ありのままの姿を世間に解き放ったあと、人生がとても楽に、そして豊かになったのを全身で感じたといいます。

というものの、ものごとは単純には進みませんでした。自分自身のセクシュアリティを完全に受け入れるのに。幼なじみに話すのに。そして、なによりも、両親に告白するのには、長い時間が掛かりました。そこから、両親がその事実を受け入れるのには、もっと長い時間が掛かったのです。

「当時、両親にも私のセクシュアリティを受け入れてもらいたいと強烈に願っていました。でも、ある種の価値観が両親の中に深く根付いていて、それを克服するのは困難極まると感じ取ったのです。私と妻との関係を受け入れてもらいたい。そう必死に説得をする時、その会話は廃墟となって何度も崩れ落ちていきました。

その経験から、理解して欲しいという押しつけや焦りからは、物事は進んで行かないということを学んでいきます。それ以後は、生活の安定化、二人の揺るぎない関係性。そして、両親に対する愛情を見せる努力をしていったのです。そんな静かなアプローチと共に、両親の気持ちがほんの少しずつ変わっていくのが見えています。」そう静かに語り続けます。

JingWei LGBTQ frinds at beach.jpegオレゴンコーストの夕焼けに向かって、それぞれのパートナーと将来に思いをはせる。Photo | JingWei Pan

| 北米に住むアジア・コミュニティーとLGBTQ

では、アメリカに住む中国人コミュニティーでは、LGBTQはどのように理解をされているのでしょうか。

「親やその上の世代の中国系アメリカ人の多くの人は、中国本土を離れる前の伝統的な価値観を持ち続けています。すなわち、LGBTQは人として正常であると考えるのは困難だということです。

『中国人でありながら、レズビアンである。』この事実をその世代の人に説明をすると、ほとんどの人がショックを受けます。理解が出来ないのです。

とは言え、若い世代になると、実生活を通してLGBTQの人々と接する機会は増しています。それだけ、カミングアウトをする人が増えたということでしょう。また最近では、中国系レインボー・ネットワークのような若者が主導する団体もあり、寛容さや理解は深まっています。

長年、世界の中国人コミュニティーでは、ゲイやレズビアンのことは、表立って公的に語られることはタブーとされてきました。ですので、この問題は差別というより、むしろ無知に起因するものだと考えています。

ここ数年の中国本土では、LGBTQの権利を率直に主張する若者も増えてきています。このような話題に注目が集まるにつれて、尊重と受容の方向に向かっていることがSNS上の世論からもわかってきました。

世界保健機構(WHO)が正式に、『同性愛は精神疾患ではない』と発表したこと。これも受容のきっかけとなった要因のひとつだと思います。」

さらに、多様性&包摂性という大きな枠組みでものごと考える時、関心が研ぎ澄まされるとのこと。

「人種、性別、セクシュアリティのという面で、人生の大半をマイノリティとして私は過ごしてきました。

私自身、排除される側にいた者です。ですので、社会的排除というものが、どれほど酷なダメージを与え、やる気を失わせるかの恐ろしさを知っています。そしてその一方で、優しさや受容を受ける側にいた者でもあります。ですので、それらがどれほど力を与え、癒しになるかも経験しています。

この経験が、私をより優しく、より忍耐強く、より思いやりのある人間にしてくれたと思っています。そして、それを持ち得たからこそ、良い同僚、チームメイト、リーダーとして成長し続けていこうと思えるのです。

今の社会において、多様性&包摂性は表面上の単なるスローガンではありません。より良い文化と社会を築くため。その基本的価値観へと広がっています。

職場の文化、そして社会の文化が多様性を認めること。それは、単に偏見をなくすだけではありません。社員が互いに責任を持ち、優しさを育み、思いやりを育てることが大切なのです。」

一人一人が、相手を思いやる気持ちの『エンパシー』を持つこと。

こう締めくくってくれたジンウェイさん。その胸に刻み込んでいる言葉を、今日はあなたと分かち合いたいです。

人格者は他人と調和をするが、他人に媚びたり流されたりしない。

つまらない人間は他人に媚びたり流されたりするが、他人と調和することはしない。

孔子 (現代語訳)

JingWei Last Photo Cannon.jpegPhoto | JingWei Pan

次回は、『教育』についての特集です。多様性からみたアメリカの教育とは?今の教育格差とは? 夏休みを挟んで、9月9日掲載となります!

尚、今回予告をしていたブランドは、自然災害等の影響により記事記載が延長となりました。ここにお詫びを申し上げます。

記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください

 

Profile

著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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