イタリアの緑のこころ
秋の幸ポルチーニなどキノコおいしい季節 毒キノコには要注意
秋になっても日中は暑いほどの日が続き、長い間雨が降らない日々が続いたイタリアの多くの地域で、最近はその分も補おうとするかのように、しばしば雨が降り、時には長い間激しい雨が降り続けることさえあります。おかげで気温も下がり、秋らしい天候となってきました。イタリア中部では、例年、秋や冬には雨の日が多いのです。
雨の日が続くので、義弟はうれしそうです。十分に雨が降れば、2、3週間後には野山にキノコが育ち、キノコ狩りができるからです。
気まぐれな雨が時々降り、朝晩涼しいほどになり、#雨 のおかげで野山で #キノコ が育ちます。昨日は、我が家のキノコ狩り名人である義弟が、たくさん採れた #ポルチーニ を分けてくれました。今日はこの #ポルチーニ茸 でパスタを作る予定です。#イタリア https://t.co/grjetdt3IW #porcini #pioggia pic.twitter.com/4AVmpqhpUb
-- Naoko Ishii (@naoko_perugia) September 5, 2019
2019年などは、8月下旬から雨の日が続いたため、早くも9月初めに、義弟がたくさんのポルチーニ茸を摘んで、わたしたちにも分けてくれました。今年はつい先週までほとんど雨が降らず、例年に比べて暖かい日が続いていたので、「これではキノコが育たない」と義弟はがっかりしていました。
ポルチーニは、わたしたちも秋に山を歩いていて、見つけたことがあります。
10月半ば、紅葉を楽しみに友人たちとアッペンニーニ山脈の山を歩いたのに、栗が落ちていたりポルチーニ茸が生えていたりしたので、栗拾いやキノコ狩りに夢中になったのは、2012年のことでした。新鮮なポルチーニがたくさん見つかってびっくり。https://t.co/K3EdTEehlB pic.twitter.com/A5IzGOpRiX
-- Naoko Ishii (@naoko_perugia) October 24, 2023
トスカーナ州のアッペンニーニ山中にあるミケランジェロの生地、カプレーセ・ミケランジェロで催された栗祭りで、生ポルチーニと並んで、乾燥ポルチーニが売られているのを見かけたこともあります。(冒頭の写真)
ポルチーニ茸の料理と言えば、家でも店でも、ポルチーニのパスタを食べることが多いのですが、レストランには、ポルチーニたっぷりのソースがかかった肉料理や、ポルチーニのリゾット、ポルチーニスープなど、さまざまな料理がありますし、ピザの具にポルチーニ茸が使われている場合もあります。
2019年の秋はまた、ポルチーニよりもおいしく、見つけるのが難しいと言われる貴重なキノコ、セイヨウタマゴタケが、ペルージャでまれに見る豊作だったため、
義弟がたくさん見つけて、わたしたちにも分けてくれました。
ハラタケもまた、イタリアの野山でよく見つかるおいしいキノコの一つです。
上の写真は2020年秋に夫が山で見つけたハラタケで、パスタにして食べました。ハラタケはマッシュルームの近縁種なので、味もつくりもよく似ています。
ちなみに、ポルチーニやハラタケは、標高が高い山は夏も涼しいので、雨がよく降れば、夏から秋にかけての長い期間、採ることができます。
2010/8/2「高山は夏もキノコ三昧」#キノコ の季節は一般には秋ですが、標高の高い山では、夏にもキノコが見つかることあり。2009年にマルケの山を歩いていたら、直径2、30cmの巨大な #ハラタケ があちこちに生えていて、夫も友人も夢中でキノコ狩を始めました。#イタリアhttps://t.co/gYLoG53MW3 pic.twitter.com/gQKad9oZ08
-- Naoko Ishii (@naoko_perugia) August 1, 2021
キノコはおいしい山の幸、秋の幸ではありますが、イタリアでも毎年、毒キノコを食べて食中毒になってしまう人が多く、亡くなってしまう場合さえあります。
イタリアでは今も、毎年大勢が有毒キノコで食中毒となり、1998年から2017年にキノコによる食中毒を患った人が15,864人、うち12,813人が治療を受け、40人が死亡、33人は命は取りとめたものの、重篤で不可逆性の腎不全を患っているとのことです。下の記事は2012年のニュース。https://t.co/yn4Nt2cvlN
-- Naoko Ishii (@naoko_perugia) October 24, 2023
わたしたちの友人にも、ポルチーニ茸を摘んだつもりが実は毒キノコだったという人がいます。幸い命にこそ別状はなかったものの、食べた家族全員が救急病院で大声で叫び続けるという症状が出て、大変だったそうです。この友人も普段からキノコをよく採る人ですし、2012年に家族3人が命を失うこととなった毒キノコを採った女性は、食べられるかどうか不安に思い、料理する前に、何人かの知人に安全かどうかを尋ねたにも関わらず、結局は料理して、彼女と両親が亡くなってしまっています。
今年10月にも、イタリアではすでにカラブリア州で、毒キノコを食べた家族3人が食中毒になるという事件が発生していますから、キノコはおいしくはありますが、十分に注意をする必要があります。
著者プロフィール
- 石井直子
イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。
ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia
Twitter:@naoko_perugia