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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

ウンブリア希望と喜びの春だより、カステッルッチョ高原の種まきとサッカーチームの健闘

カステッルッチョの高原と今も雪が残るシビッリーニ山脈 2021/4/9 photo: Naoko Ishii

カステッルッチョ高原でレンズマメの種まき開始、一面を野の花が彩るのは夏至以降か

 2016年のイタリア中部地震から5年目となる今年の春、シビッリーニ山脈の高みにあるカステッルッチョの高原では、名産のレンズマメの種まきが、復活祭の前日、4月3日から始まりました。イタリアのANSA通信の次の記事によると、震災からの再建がまだ遠い上に、新型コロナウイルス感染症の感染下という二重の困難の中迎える2度目の種まきではありますが、雪が殊更に多い冬は豊作が見込めるので、今年は収穫に期待できるとのことです。

 感染下で、カステッルッチョ産のレンズマメのように、上質で値が高めである商品は、売り上げが伸びにくいという状況にはあるものの、ワクチン接種が進んで、緊急事態を乗り越え、経済が復興することを願っているというカステッルッチョ・ディ・ノルチャのレンズマメの生産者の代表の声が、記事には引用されています。

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真っ赤なヒナゲシや青いヤグルマギクが一面に咲くカステッルッチョの高原 2018/7/14 photo: Naoko Ishii

 ANSA記事によるとさらに、種まきは4月いっぱい、そして翌月も続き、6月末から7月にかけて、カステッルッチョの高原一面を野の花が彩り、8月がレンズマメ収穫の時期となると予想されているとのことです。

バレンタイン、鉄鋼業の町、テルニのサッカーチーム躍進、ペルージャは?

 ウンブリアの南、テルニ県の県都である同名の町、テルニは、バレンタインデーの由来となる聖人、聖ヴァレンティーノ(176-273)の生地、鉄鋼業、そして、古代ローマ人が築いた壮大な滝、マルモリの滝で知られています。

 イタリアやウンブリア州の他の市町村同様に、テルニもまた、感染と経済危機に苦しんでいるのですが、その町の人々の心をずっと躍らせているニュースがあります。テルニのサッカーチーム、テルナーナは、2018年にセリエBからセリエCに降格したのですが、今季は、「またも勝利」と地方ニュースでたびたび伝えられるほどに強く、驚いていました。4月3日の昼のニュースでは、次の試合で勝たなくても同点であれば、属するCリーグでの優勝とセリエBへの昇格が決まるという報道があり、その数日前から、地方ニュースでは連日、喜びに顔を輝かせるテルナーナのファンたちや、チームの旗と応援の言葉が町の随所に見られる様子が、報道されていました。

 その4月3日の試合で、4対1で圧勝し、セリエB昇格を決めたテルナーナと勝利・昇格を喜ぶチームとファンの姿は、その後しばらく連日テレビで放映されていました。以後も、テルナーナは負け知らずで、躍進を続けています。

 かつてはセリエAで、中田の活躍で日本でも知られていたペルージャのチームもまた、2020年にセリエCに降格し、Bリーグで戦っています。

 そして、わたしが先に引用した記事を書いて以降、4月11日にペルージャチームも勝利を収め、首位のパドヴァも対グッビオ戦で勝ったため、首位と3点の差はあるものの、まだセリエB昇格の可能性が残っています。

 いつか再興するときが来る、そのための被災地での特産品の種まき、そして、勝利を目指して日々練習に励むチーム、ひいきのチームを応援し、試合の成り行きや結果に一喜一憂するファンたち。この春のウンブリアは、そんな表情も見せています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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