NYで生きる!ワーキングマザーの視点
NYで舞台女優の大野さんはオンライン英会話講師としても活躍中
前回につづき、HONDAディーラー USAで英語の声(ナレーション)のお仕事を得たNYで舞台女優の大野さん。英会話講師をオンラインで始めた理由とは?
──パンデミック中はどうやって過ごされていましたか?
2年前にCOVID-19が始まって、街がシャットダウンし始めた週に、私もコロナにかかってしまってとても怖かったです。まだワクチンもない頃で、咳がひどかったので、病院で血中酸素をはかって、レントゲンをとってもらいました。その時は嗅覚もおちたのですが、今は戻りました。
──ブロードウェイはもちろん、ラジオシティー・ミュージックホールや小さな劇場もパンデミックの時には完全にクローズしてしまいましたよね。
パンデミックをきっかけにオンラインで英語を教え始めたのですが、今後はそれもキャリアにしてやっていけそうです。オンラインならば日本にいる人にも教えられるので、さらに生徒さんも増えてきました。
英会話よりも、発音を中心にやっていますが、それは正しい発音ができると英語をちゃんと聞いてもらえ、スムーズな会話につながり自信が持てるようになるからです。しかも話せると聞けるようになり、リスニングにつながるので、TOEICや英検などの資格英会話ではなく、リスニング、学校や会社の暗唱・スピーチコンテストのある人などにも指導しています。
暗唱コンテストなどは、いかに物語をうまく伝えることができるのかを伝授できるということもあって、楽しくやっています。
──教えるポイントはありますか。きっと演劇で学んだキャリアも役にたっているのでは?
アメリカ人も演劇学校では発音する際のちゃんとした口の形を学びます。エクササイズをやっていろいろなパーツを動かして、舌や口を鍛えます。日本語と英語では、口のパーツも使う筋肉が違うので、それを目覚めさせるんです。英語を発音するときに動かす場所を自分でわかるようになるのは大事だと思います。
──いろいろなことを勉強しているおかげで、ちがった観点から教えることができますね。
そうですね、それは役立ってます。
何を隠そう、大野さんは中国語も流暢に話せます。
──私は長年アメリカにいても勉強しないせいか、英語がいつまでたってもうまくならないので、いっそのこと日本語のできるアメリカ人に取材するようにパターンを変えました。
私は日本で育っているため、完全に日本語の頭なのですが、日本語と英語で育った人の頭の中を知りたいって思います。
──これからの演劇の方向性とかはありますか?
悪役とか、自分とかけ離れた役をやりたいです。演劇に対する私の考え方として、日本とアメリカの違いは、日本では『本当の自分の上に新しいものを被る』。アメリカでは、『本当の自分がいろいろいて、その自分を出す』。
どちらも正しいと思います。自分にはいろいろな面があって、キャラクターと一致していれば、その自分が出る。違うと思っても、自分の持っているものなのかなと思う。普段まわりから思われている私に対するイメージと、違う役を演じるのも楽しいはずです。
──オーディションで気を使ってることはありますか?
他人とは違う自分らしさがでたらいいだろうなと思います。自分が一番楽しめたり、自然に演技ができたときに、その役がくることが多いです。選ばれたいときには、無理したりつくったりしてしまうのですが、そうすると、うまくいかなかったりする。
──気合が入っちゃうとダメってことですね。
なので、役の中に自分との共通点を見つけるのは大切です。あと時間があれば、舞台や映画を観るようにしています。
──今おすすめや行きたいミュージカルってありますか?
カンパニー(スティーブン・ソンドハイム作、オリジナルは主役が男性の設定だけど、これは女性が主役になっています)やまだ見てないHades Town 観てみたいです。あとは、ムーランルージュ。マイケルジャクソンについての"MJ"も見てみたいです。
ヒュー・ジャックマンが、ミュージカルThe Music Manに出ているので、それも興味あります。ハリーポッターも観たいですね。映画でも観たのですが、ウエストサイドストーリー。
お芝居は、プラザ・スイート(サラ・ジェシカ・パーカーとマシュー・ブロデリックのコメディー)、アメリカン・バッファローや、マクベス。他にパブリック・シアターにはいつも面白そうな舞台があります。Chinese Ladyというのを見たいのですが、手頃なチケットがなかなか取れません。
──目指している女優さんはいますか?
歌も歌えるHBスタジオ(私も通った学校)の卒業生Katie Finneranという女優さんがいて、憧れています。彼女のコメディセンスは最高です。以前HB主催のGALA(パーティー)で直接会って、一緒に写真を撮ってもらった時はとても嬉しかったです!
【プロフィール】
大野有梨香(おおのゆりか)
女優、兵庫県神戸市出身。2012年に渡米、Circle in the Square Theatre School, HBスタジオを経てニューヨークで活躍中。舞台はミュージカルからストレート、ドラマからコメディと幅広い。ブルックリンにあるThe Brick Theaterでの"The Adventures of Minami" ではタイトルで主役のアンドロイド役ミナミを演じ好評を得る。他にもマンハッタンのオフブロードウェイ劇場Ensemble Studio Theatre, Players Theatre、スタテン島のSundog Theatreなどで新作、話題作に出演し注目を得る。アジア人、日本人というステレオタイプにとらわれない役者を目指す。<写真 ©Yurika Ohno>
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com