「方針に異論があるなら転校を」...教育を軽んじ、教師を馬鹿にする日本社会が学ぶべきこと
先生に雑務で疲弊している時間はないはず
実際アメリカの大手IT企業の創業者やヘッジファンド、大学教授、政府機関の重要職にはイラン系の出自を持つ人が少なくない。イラン人は学校を子どもを漫然と預かってくれるところだとは思っておらず、教育は成功への鍵だと考えている。
私は常々バブル崩壊後の日本経済・社会の停滞の根源的な理由は教育にあると考えてきた。高度経済期の成長は日本の学校教育のたまもので、国民の平均的な読み書きや計算力の高さが大いに寄与したのだと思うが、現代のIT時代には読み書き計算にプラスして、自由に発想する力、それを他人に説明し説得できるコミュニケーション力、つまずいても立ち直る力が必要だ。
どの教科でも平均点が取れる生徒を量産するのではなく、教科ごとの出来に凸凹がある生徒の個性を伸ばす教育も求められる。それは従来の板書を書き写す教育よりもずっと時間も手もかかるから、先生も雑務で疲弊している時間はないはずだ。
現代の日本は子どもの教育を軽んじ、先生をばかにしていると思う。時代遅れの教育が国の沈滞という取り返しのつかない事態を招く前に、教育改革が必要である。教育の無償化だけでなく教師の待遇改善にも予算を割き、再び世界で戦える優秀な「人財」を生むことになれば、子どものいない人にとっても有益な政策になるだろう。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」 Twitter:@IshinoShahran
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