袴田事件の取材で感じた怒りと悲しみ...日本人は改めて「死刑」の意味を考えるべき
今では多くの国で死刑が廃止され、存続しているのはOECD(経済協力開発機構)加盟国では日本とアメリカだけ。日本政府は死刑制度や死刑執行についての詳しい情報を公表していないが、国民一人一人がもっと知りたいという気持ちを持って、いろいろな情報を確認してほしい。
また、死刑の意味をもっと考えてほしい。誰かを殺した人を殺すのは人道的な態度であるのか。死刑は復讐にすぎないと私は思う。復讐はよいこととは思わない。適切な司法には、復讐は含まれないはずだ。
母国フランスでは高校で哲学の授業があり、公平な司法とは何か、死刑は適切な罰則なのかといった問題について考え、議論する場になっている。日本でも学校で哲学の授業を設けてそんな問題をきちんと取り上げれば、死刑に関して多くの国民の意見が変わるかもしれない。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi
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