国会で「議論」がない──アドリブで答弁できない政治家と批判しないマスコミの共犯関係

Kim Kyung Hoon-REUTERS
<「〇〇についてお尋ねがありました」という、聞き飽きた常套句。官僚が用意する答弁を読み上げるだけの「討論」。追及しないメディアにも責任がある>
1月25日から、衆議院の代表質問が始まった。興味があってオンラインで見たが、改めてがっかりしたし、完全に無駄な時間だと思った。なぜなら、効果が期待できる作業に全くなっていないから。
各党の代表は演説を読みながら、岸田首相にいくつかのトピックについて質問する。さまざまな問題や政策をめぐる各党の意見を聞く良い機会ではあるけれど、首相の回答にはがっかり。質問は事前に政府に通告されるから、回答は官僚たちが用意する。つまり首相はその文章を読み上げるだけだ。
ほぼ全ての代表が同じ項目について質問した。すなわち防衛費増額、賃上げ、原発政策、そして教育政策。結果的に、首相は「〇〇についてお尋ねがありました」という決まった表現で始め、それぞれの項目について何度も同じ回答を読み上げた。
しかも、ほとんどが既に記者会見などで発表されている内容で、新しい情報は何もない。首相の回答の後で質問者は追加質問や指摘ができないから、議論にもならない。
それでも、一部のマスコミは「議論が交わされた」というふうにこの代表質問を紹介した。議論や討論の意味は、問題を解決するために意見を論じたり、批判をし合ったりすることだと私は思う。代表質問は議論ではなく、一方的な演説にすぎない。
今のままだと、首相の代わりに文章を読み上げるロボットを使ってもあまり変わらないだろう。国会での首相や閣僚の無駄な時間は、結果的に国にとって時間の無駄になるだけでなく、お金の無駄にもなる。
インフレ、ウクライナ戦争、エネルギー問題、気候変動など、山ほどの深刻な問題に対応しないといけないときに、こんなに非効率的な政治作業はもう許されないと思う。
テーマごとに本格的な議論ができる仕組みが必要だ。しかし残念ながら、国会改革が近いうちに行われることは期待できない。政府にとっては、現在の状況が有利だからだ。
それでも、首相や閣僚は「議論」という単語をしばしば使い、「議論している」と強調する。
これは国会での議論よりも、有識者会議での議論を意味しているのかもしれない。有識者会議は便利だ。政府が選んだメンバーの間の議論であり、議事録は非公開にすることも可能なのだから。
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