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トランプ支えるQアノン、ドイツに影響力飛び火 陰謀論が急増する背景
データの空白を利用する
QAnonが主張している闇の組織には、延命と若返りの奇跡の薬があるとされる。薬の原料とされる「アドレノクローム」は、この数十年の間、ほとんど関心を持たれることはなかった。これは「データの空白」を意味する。
つまり英語の「adrenochrome」という単語は、最近まで検索されることはほとんどなかった。そのようなデータの空白を前提に、QAnonはこの言葉をめぐる陰謀話を提供する。結果、検索エンジンのランキング上位を制覇することができるのだ。
2019年、「アドレノクローム」という用語の検索クエリが急上昇した。QAnonに関する数ヶ月間の報道を経た今、Googleの画像検索では、アドレノクロームをめぐる陰謀論のリンクで埋めつくされている。
テレグラム、陰謀論の真の舞台
欧州で人気のメッセンジャーアプリ「テレグラム」は、陰謀論の普及に特別な役割を果たしている。テレグラムは、ソーシャルネットワーク、ビデオ・プラットフォーム、非合法なマーケット・プレイスまでを1つにまとめたもので、ルールはないに等しい。
現在、テレグラムには月に4億人のアクティブ・ユーザーがいる。テレグラムの責任者は、ロシアのIT起業家パヴェル・デュロフである。デュロフは、 2006年に最初のソーシャルネットワーク「VK」(Vkontakte「連絡先」の意)を設立した。2011年、VKは、ロシアのプーチン政権に対する抗議のネットワークだった。ロシア当局がVKの抗議グループを閉鎖し、VKのユーザーデータの開示を命令したとき、デュロフはそれを拒否し国外に亡命した。
2013年に彼は個人資金で「メッセンジャー・テレグラム」を設立した。テレグラムは、各国政府がアクセスできない通信チャンネルを提供すること、個人のプライバシー保護を使命としている。
デュロフは現在ドバイにいると推測されているが、彼は自らを、「自由のためにすべての危険を覚悟する」ことを約束している。毎日150万人の新規ユーザーが追加されるこのアプリは、WhatsApp、Facebook Messenger、WeChat、中国のQQに次ぐ、世界で最も人気のあるメッセンジャー・アプリの中で5番目にランクされている。
民主主義は生き残れるのか?
ベルリンでもユーザーが増大しているテレグラムのQAnonのチャンネル「Qlobal Change」には、12万人以上の加入者がいる。Covid 19に関する陰謀論の多くは、投稿規制がほとんどないテレグラムや、ユーチューブの厳しい投稿規制を迂回できるBitChute(ビチュート)という、極右や陰謀論者に対応したビデオ・ホスティングサービスなどを発火点としている。
米国の最近の世論調査によると、共和党の有権者の33%が陰謀論は大体真実だと考えていて、共和党員のさらに23%が、その物語は少なくとも部分的には真実であると答えている。米国における2つの主要政党のいずれかに属する有権者の半数以上が、選出される指導者を、悪魔崇拝の小児性愛者から世界を守り、もし彼が敗北すれば、それは聖書のハルマゲドンだと信じている場合、果たして民主主義は生き残れるのか?
かつてドイツ国民が選択したナチスは、反ユダヤ主義や多彩な陰謀論で大衆を熱狂させた。一時の熱狂から歴史的な惨劇を経験したドイツは、ベルリンの壁崩壊から30年が経過してもなお、過去の贖罪を今なお引き受けている。
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