「劇場型政治家」小池百合子の限界...頼れる誰かに擦り寄る力と「丸のみ」にした3つの政策
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知事選後、都議会自民党の都議は「是々非々の姿勢は変わらない」と発言していたが、小池に「軍鶏のけんか」を仕掛けなくなった。小池は議会に安定を想定し得る、「普通の都知事の権力」を獲得したのだ。
それによって何が起きたか。第3の政策として東京メトロ有楽町線・南北線の延伸プロジェクトの例に触れておこう。
マンション開発が進む臨海部の豊洲と、東京スカイツリーにも近い住吉を結ぶこの延伸計画を今年5月、都の都市計画審議会が承認した。建設費は1420億円。開業すれば副都心線の08年以来という久しぶりの大型地下鉄建設だ。
この延伸は元江東区長、山﨑孝明(23年4月に急死)の悲願だった。山﨑は、自民党の区議や都議を経て区長を4期務め、23区長会長に上り詰めた実力者。元首相の森喜朗に近く、息子も自民党都連幹部だった。
20年知事選を控えた19年10月、山﨑と面会した小池は「全力で取り組んでいきたい」と熱弁。小池再選後の21年の協議で、都が年来の主張であったメトロと都営の一体化を求めないと明言したことがきっかけで、メトロも都などの補助を前提に消極姿勢から建設容認に転じた。
小池にとっては山﨑の要望に応えたことになるが、大きな方針転換ではあった。
これまで東京都はメトロ株の47%を保有することによって、潤沢なキャッシュフローを誇るメトロに影響力を及ぼし、路線の整備や地上出口エレベータなど環境整備を促すことができた。
そこに公益性を見いだしていたからこそ株保有や一元化にこだわったはずだが、結局、53%の株を保有する筆頭株主の国の求めに応じて、都の保有株も放出することを決めた。
儲かり体質のメトロ株を手放し、将来的な都市基盤のための投資余力を失うデメリットが生じるが、前出の政策同様、小池が将来のことまで考えていたかどうか。
さらに問題がある。前出の都の審議会では、有楽町線だけでなく南北線延伸(白金高輪~品川)も承認している。これも整備主体はメトロだが、やはり都の財政出動が条件になる。
メトロだけではない。都直営の都営大江戸線の延伸計画(光が丘~大泉学園町)について小池は昨年の都議会で、庁内に検討組織を立ち上げると答弁した。
都が出資する第3セクターが運営主体となる臨海地下鉄(東京駅~臨海部)も事業計画を作成中のほか、やはり都出資の多摩都市モノレールの延伸(上北台~箱根ヶ崎など)も、都知事選の公約にも盛り込んだ。多摩は、最近、接点が際立つ自民党都連会長の萩生田のお膝元だ。