最新記事
米大統領選

バイデン大統領の討論会「大失敗」は側近の判断ミス

2024年7月1日(月)13時58分
大統領選討論会

バイデン米大統領が6月27日の大統領選討論会で「大失敗」した背景には、最上級顧問らによる一連の判断ミスがあったとみられることが、民主党関係者や献金者、現・元側近らの話で明らかになった。写真はアトランタで討論会に臨むバイデン氏(右)とトランプ氏(2024年 ロイター/Brian Snyder)

バイデン米大統領が27日の大統領選討論会で「大失敗」した背景には、最上級顧問らによる一連の判断ミスがあったとみられることが、民主党関係者や献金者、現・元側近らの話で明らかになった。

討論会でトランプ前大統領(78)は、いつものように目に余るような虚偽発言を繰り返した。ところがバイデン氏(81)はそれらに反論できないばかりか、言葉もたどたどしく、民主党内からは再選を断念すべきだとの声や、側近の反省や辞任を求める声が噴き出した。


 

ある人物は討論会の数日前、バイデン氏の最側近らに同氏を休ませるよう頼んだが聞き入れられなかったと話す。「私が唯一お願いしたのは、討論会の前に彼を休ませてほしいということだったが、彼は(当日)疲れ切っていた。体調を崩していた。病んで疲れ切っているように見える彼を送り出すとは、なんという判断ミスだろう」

もっと鋭い批判もある。

バイデン氏の主要な献金者である弁護士のジョン・モーガン氏は「(事前の)アドバイスと練習が過剰だったと私は思う。そして(上級顧問の)アニタ・ダン氏は、トランプ氏を有利にする舞台にバイデン氏を立たせてしまったのだと思う」と語る。

モーガン氏は、ダン氏や他の側近を「永久に解雇し、二度と選挙運動に近づけさせない」ようにすべきだとの考えを示した。

バイデン氏の討論戦略は、2020年の大統領選で同氏の勝利を助け、今年1月に選挙対策委員長に任命されたジェン・オマリー・ディロン氏の承認を受けている。長年にわたるバイデン氏の側近で、オバマ元大統領の選挙参謀も務めたダン氏がその戦略を支持した。

討論会に臨むバイデン氏陣営は自信に満ちていた。トランプ氏は5月31日に有罪評決を下された。そしてバイデン氏らの側近らも驚いたことに、世論調査でずっと低迷から抜け出せなかった同氏の支持率が、その後の数週間でじりじりと上がり始めていたからだ。

顧問らは、バイデン氏がワシントン近郊の山荘「キャンプデービッド」に6日間缶詰になるという厳しい討論会準備スケジュールを組んだ。

準備に関与したのは、バイデン氏の最初の大統領首席補佐官を務めたロン・クレイン氏、前出のダン氏、長年の側近マイク・ドニロン氏などのほか、政策・政治専門家約12人だった。

バイデン氏陣営は28日、スタッフの交代は検討していないと述べた。

オマリー・ディロン氏は29日に支持者に宛てた電子メールで、内部調査などによると討論会後、激戦州において有権者の見方に変化はなかったと主張。「メディアの大げさな表現ぶり」が「世論調査の一時的な落ち込み」を引き起こすかもしれないが、バイデン氏が11月に勝利することを確信しているとした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中