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少子化社会

21世紀の「第3次ベビーブーム」はなぜ起きなかったのか?

2024年3月6日(水)11時20分
舞田敏彦(教育社会学者)

過ぎ去った過去を悔いても仕方ないが、今後はどうなるのか。<図2>は、出生数のこれまでの推移と未来予測を接続させたものだ。

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赤い線が実測値で、点線は昨年に公表された未来推計値だ。未来推計は3つのパターンが公表されていて、よく使われる中位推計だと2040年の出生数は72万人、悲観的な低位推計だと59万人になると見込まれる。

1997年に公表された出生数予測を実測値と重ねてみると、低位推計がよく当たっている。ほぼピッタリだ。したがって今後の推移としては低位推計を見るのがいいが、ここ数年の出生数の傾きをみると、低位推計とて見通しが甘いように思える。近年の推移を延ばすと、赤色の点矢印のようになりそうだ。今のペース(毎年2万人減少)だと、2030年代初頭には年間出生数が50万人を割ってしまうことになる。

国の存亡に関わる危機と、政府も対策に本腰を入れてはいる。特に教育の無償化に力が入れられており、2020年度より低所得層の大学の学費が減免され、返済義務のない給付奨学金も導入された。公立学校の給食費や学用品費用を完全無償化する自治体も出てきた。これが全国規模で実現されれば、「異次元」の対策と呼ぶにふさわしい。

これらは、子がいる家庭への「子育て支援」の性格が強い。しかし少子化対策の上では、若者全体を支援の対象に据える必要がある。昔と違い、今の若者にとっては結婚・出産自体が「高嶺の花」となりつつある。稼ぎの減少に加えて、増税により可処分所得は減る一方だ(「この四半世紀でほぼ倍増した若年世代の税負担率」2023年8月16日,本サイト掲載)。少なくなった手取りから、学生時代に借りた奨学金も返さなければならない。結婚どころではない。

昨年に策定された「こども未来戦略」でも言われている通り、人生のイベントアワーにいる若者の(可処分)所得を増やすことに重点を置くべきで、最も簡素で有効なのは減税だろう。

都会の若者の間で「狭小物件」への需要が増しているというが、これなどは所得の減少による「住」の貧困に他ならない。結婚・出産を控えた(消費意欲旺盛な)若者を、1ルームならぬ「半ルーム(3畳)」に押し込んでいる場合ではない。

<資料:厚労省『人口動態統計』
    社人研『将来推計人口』

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