最新記事
災害

能登半島地震の死者84人に、孤立集落も 衛星写真でも被害の甚大さ明らかに

2024年1月4日(木)21時43分
ロイター
クルマで渋滞する輪島市内の道路

1日に発生した能登半島地震で、73人の死亡が確認された。最も大きな揺れを観測した同県内では多数の建物が倒壊し、輪島市内では大規模な火災も発生、七尾市、穴水町、能登町で孤立集落が発生している。写真は輪島市で2日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

1日に発生した能登半島地震で、石川県は4日午後3時現在、84人の死亡を確認した。最も大きな揺れを観測した同県内では多数の建物が倒壊し、輪島市、珠洲市、七尾市、穴水町、能登町では孤立集落が発生。県によると、4日午後2時現在、179人の安否が不明となっている。岸田文雄首相は4日の非常災害対策本部会議後の会見で、週明け9日に被災地支援での予備費使用を閣議決定すると語った。

石川県によると、輪島市で48人、珠洲市で23人、七尾市で5人、穴水町で4人、能登町で2人、羽咋市と志賀町で各1人が死亡した。輪島市ではなお行方不明者を確認中としている。消防庁によると、4日午前7時時点で石川県以外で死者は確認されておらず、重傷者は石川県で25人、富山県で3人、新潟県で1人。軽傷者は新潟県や福井県、大阪府なども含め222人に上る。

被災地では1日以降も断続的な揺れは続いており、気象庁によると、3日午前10時54分ごろには石川県で震度5強の地震が発生した。石川県内では364の避難所に3万4000人超が避難している。

政府は4日午前も非常災害対策本部会議を開き、被災対応を協議。会議後の会見で岸田首相は「生命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻まで、現場の総力をあげて1人でも多くの方の救命救助を目指す」と語った。また、被災地支援での予備費の使用について9日の閣議で決定するとし、その規模については2016年の熊本地震の23億円などと比べ倍近くになるとの見通しを示した。

首相によると、4日午前9時現在、警察では138件の要救助事案が確認された。うち114件は対応終了もしくは対応中だが、24件はアクセスが困難な状況だという。

能登半島地震は1日午後4時過ぎから相次ぎ発生し、午後4時10分には最大震度7を石川県志賀町で観測した。気象庁は2011年の東日本大震災以来となる大津波警報を能登地方に発表した。

気象庁は日本海沿岸に出していた津波警報をその後津波注意報に切り替え、2日午前10時にすべての津波注意報を解除した。

石川県によると、輪島市や珠洲市で多数の家屋が倒壊した。輪島市では観光名所の「朝市通り」がある河井地区で大規模な火災が発生した。

2日夕には、能登半島地震の被災地への物資を運ぶ途中だった海上保安庁の航空機が、着陸しようとしていた日本航空機と衝突。海上保安庁の航空機に乗っていた5人が死亡する事故が発生した。

岸田首相は3日の記者会見で、被災地への救援物資輸送に「全体として(事故の)影響は生じてない」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中