能登半島地震の死者84人に、孤立集落も 衛星写真でも被害の甚大さ明らかに
1日に発生した能登半島地震で、73人の死亡が確認された。最も大きな揺れを観測した同県内では多数の建物が倒壊し、輪島市内では大規模な火災も発生、七尾市、穴水町、能登町で孤立集落が発生している。写真は輪島市で2日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
1日に発生した能登半島地震で、石川県は4日午後3時現在、84人の死亡を確認した。最も大きな揺れを観測した同県内では多数の建物が倒壊し、輪島市、珠洲市、七尾市、穴水町、能登町では孤立集落が発生。県によると、4日午後2時現在、179人の安否が不明となっている。岸田文雄首相は4日の非常災害対策本部会議後の会見で、週明け9日に被災地支援での予備費使用を閣議決定すると語った。
石川県によると、輪島市で48人、珠洲市で23人、七尾市で5人、穴水町で4人、能登町で2人、羽咋市と志賀町で各1人が死亡した。輪島市ではなお行方不明者を確認中としている。消防庁によると、4日午前7時時点で石川県以外で死者は確認されておらず、重傷者は石川県で25人、富山県で3人、新潟県で1人。軽傷者は新潟県や福井県、大阪府なども含め222人に上る。
被災地では1日以降も断続的な揺れは続いており、気象庁によると、3日午前10時54分ごろには石川県で震度5強の地震が発生した。石川県内では364の避難所に3万4000人超が避難している。
政府は4日午前も非常災害対策本部会議を開き、被災対応を協議。会議後の会見で岸田首相は「生命を守る観点から重要な被災72時間が経過する本日夕刻まで、現場の総力をあげて1人でも多くの方の救命救助を目指す」と語った。また、被災地支援での予備費の使用について9日の閣議で決定するとし、その規模については2016年の熊本地震の23億円などと比べ倍近くになるとの見通しを示した。
首相によると、4日午前9時現在、警察では138件の要救助事案が確認された。うち114件は対応終了もしくは対応中だが、24件はアクセスが困難な状況だという。
能登半島地震は1日午後4時過ぎから相次ぎ発生し、午後4時10分には最大震度7を石川県志賀町で観測した。気象庁は2011年の東日本大震災以来となる大津波警報を能登地方に発表した。
気象庁は日本海沿岸に出していた津波警報をその後津波注意報に切り替え、2日午前10時にすべての津波注意報を解除した。
石川県によると、輪島市や珠洲市で多数の家屋が倒壊した。輪島市では観光名所の「朝市通り」がある河井地区で大規模な火災が発生した。
2日夕には、能登半島地震の被災地への物資を運ぶ途中だった海上保安庁の航空機が、着陸しようとしていた日本航空機と衝突。海上保安庁の航空機に乗っていた5人が死亡する事故が発生した。
岸田首相は3日の記者会見で、被災地への救援物資輸送に「全体として(事故の)影響は生じてない」と語った。