「10億ドルの鉄壁」が破られた、アメリカがハマスの奇襲成功から学ぶべきハイテクの欠陥
DISASTER AT THE BORDER
共同開発したハイテク機器
米国土安全保障省は、新型のイメージングセンサーやレーダーセンサーの国境の「自律型監視塔」への導入や、国境警備用のドローンやトンネル検知センサーの導入に向けて動いていると明らかにしている。
いずれもイスラエルで使われているものと似たタイプだ。
アメリカは国境警備においては、遠隔操作もしくは自律型の機関銃を使っていないが、米軍基地や米海軍の艦艇の防御のためには使っている。
例えば米軍は、ガザとの境界で使われているのと同じイスラエルの「サムソン遠隔操作式銃塔」を100台ほど配備した。イスラエル製の監視用小型ドローン「スカイラーク」も購入している。
イスラエルが(もしくはイスラエルとアメリカが共同で)開発し、米軍が世界各地の都市や基地を守るために運用しているハイテク防衛システムはほかにもある。
アイアンドーム関連で言えば、迎撃ミサイルは主にアメリカ製で、米海兵隊は2000発を発注済みだ。
ミサイル発射台はイスラエル製で、アメリカは2基を保有している。いずれも近々、防衛力強化のためにイスラエルに送られる予定だ。両国が共同開発したさらに強力なハイテク防空システム「ダビデの投石器」も、米軍とイスラエルの双方で運用されている。
メルカバと同様、米軍のM1エイブラムズ戦車やその他の装甲車両もハイテク防護システムで守られているが、その一部はイスラエル軍と共通だ。
例えば飛来するミサイルなどを探知し、自動的に小型ミサイルを発射して爆破する「トロフィー」。飛来するミサイルのすぐ近くに「迎撃体」を発射して爆発させ、その衝撃波で破壊または軌道をそらす「アイアンフィスト」もそうだ。
イスラエルはさらに、戦車の装甲板の上に装着し、弾丸が当たると外側方向に爆発させて戦車内部を保護する「爆発反応装甲」用のタイルを米軍に納入している。
加えて国防総省は10億ドル以上の年間予算をAIにつぎ込んでいる。
その一部は人間の兵士の関与を減らす目的、つまり自律型の車両や兵器の開発・生産に使われる。既に自律型の対潜水艦無人艦や対戦車自動誘導ミサイルのテストは、かなり進んでいる。