学校の宿題が多い日本と少ないフランス......教育にはどちらがいいのか?
主要国では日本、ドイツ、アメリカで宿題の出る回数が多い Brian A Jackson/Shutterstock
<毎日宿題が出るクラスは主要国では日本が最も多いが、宿題にかかる時間を見ると日本より多い国もかなりある>
学校の長期休暇中は、宿題が出される。そのねらいは、前学期に習ったことの定着、または生活のリズムを整える、というものだろう。休みとはいえ、勉強の習慣が崩れてしまうのは困る。毎日、一定時間は机に向かってほしい。こういう思いから、長期休暇には宿題が出されている。
ただ宿題は学習指導要領で規定されているものではなく、出すか出さないかは各学校、あるいは担任教師の任意だ。休み中は色々な体験をしてほしいという願いから、宿題は最小限、いや撤廃している学校もあるだろう。バカンスの国フランスでは宿題など出ない、という話も聞く。
国際教育到達度評価学会(IEA)の理数系の国際学力調査「TIMSS 2019」では、小学校4年生の担当教員に対し「週当たり、算数の宿題をどれくらいの頻度で出すか」たずねている。日本の教員の回答を見ると、「毎日」という回答が59%と最も多い。「そうだろう」という印象だが、他国の教員の回答は違っている。<図1>は、日韓と欧米諸国の結果をグラフにしたものだ。
どの回答が最も多いかは、国によって異なる。日本と同じく「毎日」が最多なのはドイツで、宿題を重視しているようだ。
フランスは、「出さない」という回答が35%と最も多いが、他の選択肢にも回答が分散していて、出す教員もいれば出さない教員もいる。子どもによかれと思うなら出す、そうでないなら出さない。教員の裁量に幅があり、お国柄を感じさせる。
階級値(出さない=0、週1回未満=0.5、週1、2回=1.5、週3、4回=3.5、毎日=5)を使って、週に宿題を出す回数の平均値を計算すると、日本が3.9回、韓国が1.1回、アメリカが2.7回、ドイツが3.7回、フランスが1.5回、スウェーデンが0.6回、スペインが2.3回となる。主要国の中では、日本が最も多い。