最新記事
防空システム

「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの空の守りを完成させた防空ミサイル「アロー3」のすべて

Israel's Arrow Defense Missile System Compared to Iron Dome

2023年11月1日(水)16時44分
ケイトリン・ルイス

弾道弾迎撃ミサイル「アロー3」は2015年に最初の迎撃実験を終えた。写真はさまざまな物体から本物の脅威を識別する実験のイメージ Ddfense Cengral/YouTube

<イスラエルが近年になって配備した弾道弾迎撃ミサイル「アロー3」が、フーシ派からとみられるミサイルの迎撃に成功。周囲を敵に囲まれ、幾重にも張り巡らせたイスラエルの防衛網がさらに厳重になった>

イスラエル軍は、自国領土に向けて発射された地対地ミサイルをアロー・ミサイル防衛システムで迎撃したと発表した。10月7日の戦闘開始以来、初めてのことだ。

親イランのフーシ派が3度イスラエルを攻撃?うち弾道ミサイルは最先端防空システム「アロー」が迎撃

10月31日にロイターの取材に応じたイスラエル国防軍(IDF)の報道官によると、このミサイルは紅海方面から発射された。これとは別のミサイルによる攻撃もあったが、紅海の都市エイラート沖でイスラエル国防軍の戦闘機によって迎撃されたという。

イエメンのイスラム教シーア派勢力でイランの支援を受けるフーシ派は、31日にイスラエルに向けて「多数の」無人機と弾道ミサイルを発射したと発表した。ただし、攻撃がイスラエル領内に到達したという報告はない。

10月7日のパレスチナ過激派組織ハマスによる奇襲攻撃以来、イスラエルは宣戦布告し、ガザ地区への過去最大規模の空爆を開始。同地域への地上侵攻を宣言した。

これに対し、近隣諸国の民兵組織は、パレスチナ人民を支援するため、必要であれば戦闘に参加する用意があると述べている。

戦闘が激化する中、イスラエルは自国を守るため、ハマスの短距離攻撃から身を守るための移動式空中防衛システム「アイアンドーム」を稼働させている。だが31日に威力を発揮したアロー防衛システムによって、長距離攻撃に対する防衛力も増強できるだろう。

弾道ミサイルの攻撃に対応

イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)によれば、アロー兵器システム(AWS)は、世界初の独立型対戦術弾道ミサイル防衛システムだ。このシステムには、アロー2とアロー3の迎撃ミサイルが含まれており、短距離、中距離、長距離の弾道ミサイルを迎撃することができる。

IAIが設計したアロー2迎撃ミサイルは、テルアビブ近郊に1基、ハイファ南方にもう1基配備されていると、防空技術の情報サイト、エアフォース・テクノロジーは報じている。このシステムは短・中距離ミサイルの迎撃用に設計されており、2000年と2004年に配備されて以降、十数回のテストに成功している。

エアフォース・テクノロジーによると、アロー3迎撃ミサイルは、アメリカのボーイングとIAIが共同開発したもので、アロー2システムよりも高速で射程距離も長い。

アロー3は大気圏外ミサイル防衛システムで、地球の大気圏外で弾道ミサイルを迎撃するように設計されている。アロー3システムの最初のテストは2013年に成功し、その後2014年1月にイスラエル国防省と米ミサイル防衛局によって2回目の飛行テストが完了した。

 

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

WHO、米国が正式脱退 分担金2.6億ドル未払いで

ビジネス

米BofA、金利10%のクレジットカード発行検討=

ワールド

中国、今年の経済成長目標4.5─5%に設定の公算=

ワールド

EU、グリーンランドに投資へ 北極圏対応装備など=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 5
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ノーベル賞に選ばれなかったからグリーンランドを奪…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    湿疹がずっと直らなかった女性、病院で告げられた「…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中