ミャンマー軍政、難民収容施設を攻撃 13人の子供含む29人が死亡
砲撃を受け亡くなった難民キャンプの人々の葬儀 Reuters / YouTube
<コンサート会場の爆撃から1年、惨劇は繰り返された>
2021年2月1日にアウン・サン・スー・チーら政権幹部らの身柄を拘束して軍事政権が成立。それ以降、ミン・アウン・フライン国軍司令官による強権武力政治が続くミャンマーでは、軍政が民主的な総選挙を約束したものの、戒厳令の延長に次ぐ延長で2024年の実施も危ぶまれている。
国軍と武装市民組織「民防衛軍(PDF)」や国境付近に展開する少数民族武装勢力との戦闘激化による治安悪化により、国内は実質的な内戦状態に陥っている。
そんな状況にあるなか、ミャンマー北東部カチン州のムングライ・キエットにある国内難民用キャンプが10月9日午後11時半ごろ、砲撃を受けた。
民主政府を組織して軍事政権への抵抗を続ける「国民統一政府(NUG)」はこの攻撃で子供13人を含む29人の難民が死亡、57人が負傷したことを明らかにした。子供の中には1歳半の幼児も含まれていたとしている。
難民キャンプへの攻撃は重砲による砲撃に加え爆撃機による空爆も行われたという。
この難民キャンプは中国との国境に面した場所にあり、カチン州内外から戦火を逃れるために女性や子供、高齢者が多数押し寄せていた。
突然攻撃で多くの住民が瓦礫の下敷きに
独立系メディア「イラワジ」が伝えたところによると9日深夜の攻撃は168家族が避難生活を送るムングライ・キエット村にある難民キャンプをたちまち大混乱に陥れた。すでに就寝していた多くの難民は攻撃から逃れる術もなく、破壊された住居の瓦礫の下敷きとなったという。
ほぼ全滅状態となった難民キャンプでは瓦礫撤去の作業が続けられており、死傷者数が今後増えることも予想されている。
生存者は付近の村などに避難しているが、難民キャンプが全滅状態になったため、「戦火を逃れて故郷から難民キャンプに来たのにこれで帰る所がなくなった」と悲嘆にくれているという。
NUGが戦争犯罪だと軍政を非難
ミャンマー軍政は「中国との国境に近い難民キャンプへ攻撃は実施していない」と攻撃を否定している。
難民キャンプがある地域はカチン州で軍政に抵抗する少数民族武装勢力である「カチン独立軍(KIA)」が支配しているが、KIAの拠点は難民キャンプから約5キロの位置にあり、難民キャンプは軍政が攻撃目標としている軍事拠点ではない。
今回の爆撃では多くの住居施設が破壊され、キャンプ内の幼稚園、学校や寺院、養鶏場などが破壊されたという。