最新記事
エジプト

なぜ日本が協力? 「古代エジプト博士ちゃん」が聞く、大エジプト博物館の魅力

2023年10月11日(水)10時30分
※JICAトピックスより転載
ツタンカーメン「黄金のマスク」のレプリカ

大エジプト博物館の展示品には初公開のツタンカーメンの秘宝も(写真は2014年にスロバキアで展示された黄金のマスクのレプリカ) Miro Varcek-Shutterstock

<一つの文明を扱う博物館としては世界最大規模。日本の支援で建設が進む大エジプト博物館と収蔵予定のツタンカーメンの至宝について、小学1年生のときから古代エジプト文明の虜だという「博士ちゃん」こと田中環子さんと迫る>

左からJICAの松永秀樹中東・欧州部長、田中環子さん、考古学者で金沢大学教授の河合望さん

謎が多いからこそ多くの人が魅了される古代エジプト文明。小学1年生のときにその魅力の虜になった「古代エジプト博士ちゃん」こと田中環子さんが、同じく小学1年生のときにツタンカーメンに魅了され考古学者になったという金沢大学教授の河合望さんに、エジプトのギザで開館準備が進められている大エジプト博物館や収蔵予定のツタンカーメンの至宝について、そして同博物館の開館に向け進められてきたJICAの協力プロジェクトについて話を聞きました。JICAの松永秀樹中東・欧州部長がナビゲートします。


大エジプト博物館
日本の支援で建設されている世界最大規模の博物館。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で開館は延期になっており、その開館が待ち望まれている。JICAは2008年から、遺物の保存修復を担う人材の育成や、ツタンカーメンの遺物を中心とする72点の重要遺物の保存修復、博物館の運営計画支援など、多岐にわたるプロジェクトで多面的な協力を行っている。

>>●動画はこちら

大エジプト博物館ってどんなところ?

田中環子さん(以下、環子) 昨年テレビ番組の企画で初めてエジプトに行って、本や写真集で見ていたルクソールのカルナック神殿や壁画に残る古代の色彩など、実物を目の前にして感動しました! 実はエジプトに行く前に河合先生にメールをしたら、「エジプトの太陽は神様です」と教えていただいたんです。エジプトは雲が少ないので、日光がじかに体に降り注ぎ、本当に神様みたいだと感じました。

河合望さん(以下、河合) 私も環子さんと同じように小学生のときにエジプトに興味を持ちました。やっぱり実際にエジプトに行って、現地の気温や湿度、匂いを感じるからこそ古代エジプト人の暮らしや価値観が分かりますよね。そうやって体感できたことは財産ですね。

松永秀樹 JICA中東・欧州部長(以下、松永) 環子さんは開館前の大エジプト博物館に入った数少ない日本人の一人です。博物館について河合先生に聞きたいことはありますか。

環子 大エジプト博物館では、エントランス広場にあったラムセス2世の巨像に圧倒されました。展示室には入れていないので全貌が分からないのですが、大エジプト博物館はどんな博物館なのですか?

河合 大エジプト博物館の敷地は東京ドーム10個分ぐらいの大きさで、一つの文明を扱う博物館としては建物の総面積も展示面積も世界最大級となります。最大の見どころは5000点を超えるツタンカーメンの遺物です。

田中環子

田中環子(たなか・わこ) 中学1年生。2021年、テレビ朝日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に登場し、古代エジプト文明についての豊富な知識を披露。翌年同番組の企画で念願のエジプト初上陸を果たした。今回話を聞く河合望さんは、環子さんも通うカルチャースクールでもエジプト学を教えており、以前からの顔見知り。いつも古代エジプトについて教えてくれる「先生」だ

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米消費者、42%が感謝祭にクレカ利用予定 前年から

ビジネス

ドイツ経済、第4四半期は緩やかに成長 サービス主導

ワールド

資産差し押さえならベルギーとユーロクリアに法的措置

ワールド

和平計画、ウクライナと欧州が関与すべきとEU外相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中