全国学力調査から見えてくる、地域内の「学力格差」
あと一つ、内部格差の指標として、中央値と第1四分位値(Q1)がどれほど隔たっているかをみてみる。後者は下位25%の値だ。先ほどと同じく、按分比を使って出せる。
・按分比=(25.00-19.45)/(25.65-19.45)≒0.896
・Q1値=7.00+(1.00×0.896)≒7.90問
正答率のQ1値は、16問中7.90問正答ということで49.38%。先ほど出した中央値は、このQ1値の1.393倍となる。この指標をもって、内部格差の規模を測る指標とみなす。
この2つの数値を都道府県別に算出し、高い順に並べた表を作成した。それぞれの上位10位、下位10位を抽出すると<表2>のようになる。左欄は中央値で、右欄は中央値がQ1値の何倍かだ。
左側は県全体の水準だが、大よそ当局公表の平均正答率の結果と一致している。右側を見ると、内部格差が最も大きいのは沖縄県となっている。子どもの貧困が影を落としているのかもしれない。
対して秋田県や北陸の3県は内部格差が小さい。自宅での勉強時間を見ても、中ほどが多い「山型」になっており、大都市圏で見られるような「分極型」にはなっていない。全体の底上げがなされている。
当局が公表する平均値でよしとせず、元の(未加工の)分布表にまでさかのぼってみると、新たに見えてくることがある。他の官庁統計についても言えることだ。