若者の都市部への集中は、ますます加速している
若年人口の都市部への流出は地方にとっての脅威 David Cunningham/iStock.
<東京では青年期の世代人口が倍増しているのに対して、地方によっては3割以上減っている県もある>
政府は、進学を機に上京した学生が卒業後に地元にUターンした場合、移住支援金を支給するという。この手の政策は自治体レベルでも実施されていて、都市部に出た地元出身者が戻ってきた場合、生活補助金を支給することなどをうたっている(たとえば長崎県)。
人口の流動性は時代と共に高まり、地方の県は、進学や就職を機に(希少な)若者を都市部に吸い上げられるようになっている。それは人口の自然減をも上回る脅威で、どうか地元に帰ってきてほしい、都会の大学で学んだ知識や技術を地域の発展に生かしてほしい、と関係者が思うのは当然だ。
そのために移住(Uターン)支援金などの政策がされているのだが、政策の効果は絶えず検証されて好ましい方向に修正をされなければならない。その際、同世代のどれほどが地元に残っているかを計算するのも1つの手段だ。
たとえば筆者の世代は、1990年に10~14歳で、15年後の2005年に25~29歳となった。鹿児島県の統計に当たってみると、前者が13万1640人、後者が9万6843人(『国勢調査』)。後者を前者で割ると0.733で、10代前半から20代後半にかけて、大よそ3割減っていることが分かる。<表1>は、この数値を都道府県別に算出し高い順に並べたものだ。
多くの県で1.0を割っている。青色が付いているのは数値が0.8未満、つまり2割以上減っている県で、濃い色は3割以上減を意味する。その数は16で、進学や就職で都市部に出た若者が戻ってきていないところだ。長崎県では、10代前半時は11万8849人だったが、20代後半時では7万8747人。同世代人口が実に35%以上も減っている。赤色の都市圏に住み着いたままになっているのだろう。