最新記事
米中関係

レッドカーペットも高官の出迎えもなし、中国がやってくれたブリンケン米国務長官への辱め

Antony Blinken Gets Muted Greeting As He Arrives in China

2023年6月19日(月)15時46分
カレダ・ラーマン

米中の衝突を避けるための話し合いをしに訪中したブリンケン国務長官だが(6月18日、北京) REUTERS/Leah Millis

<アメリカに対してここまでやる? 独裁者・習近平の遠慮ない仕打ち>

アントニー・ブリンケン米国務長官は6月18日、きわめて難しい外交交渉を行うために北京に到着した。中国側も大歓迎の姿勢は見せなかった。

<動画>レッドカーペットも高官の出迎えもなし、哀れなブリンケン米国務長官と仏マクロン大統領との差

北京の空港でブリンケンを出迎えたのは、中国外務省のヤン・タオ北米・オセアニア局長とアメリカのニコラス・バーンズ駐中国大使だけ。

米中関係は冷え込んだままで、アメリカの外交トップが中国を訪問するのは5年ぶり。ブリンケン訪中は2月の予定だったが、中国のスパイ気球がアメリカ領空を飛行し、それをバイデン政権が撃墜したことから始まった外交上の騒動で延期された。

写真や映像によると、航空機で到着したブリンケンを歓迎するはずのレッドカーペットはなく、出迎えも少数の関係者だけだった。

アメリカに住んで12年になる中国出身の人権活動家ジェニファー・ツェンは、ツイートでこう指摘した。「空港でブリンケンを迎えたのは、アメリカの大使と共産党ではかなり下のレベルの中国外務省ヤン・タオ北米・オセアニア局長だけだった。レッドカーペットもない。歓迎の群衆も、鼓ひとつの演奏もない。これは、中国の基準と文化によれば、意図的な辱めだ」

マクロン大歓迎との差

英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のスティーブ・ツァン教授は、ブリンケンの訪中は、中国政府にとってはアメリカへの譲歩とみなされていると、本誌に語った。

ブリンケンは「閣僚級高官との対話を再開し、米中関係がさらに悪いほうにシフトするリスクを減らすために、ある種のガードレールを設置しようとしている」とツァンは言う。

「中国は基本的にアメリカに非があると考えており、アメリカ側が『誠意』を示し、中国への敵対的なアプローチを撤回しない限り、話し合う必要はないという姿勢だ」

「つまり、今回の訪問が行われるという事実そのものが、すでに中国政府内ではアメリカへの譲歩とみなされている。ブリンケンが中国にとって価値あるものを提供しない限り、今回の訪問で具体的な成果を上げることできはないだろう」

ツイッターではすぐに、ブリンケン到着の際の地味な応待を、今年4月にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が国賓として訪中した際に受けた大歓迎と比較する声が上がっている。

マクロンの足元にはレッドカーペットが敷かれ、中国外交トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員が空港で出迎えた。儀仗隊や子供たちもマクロンの歓迎に加わった。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド、銀行株売り 消費財に買い集まる=ゴ

ワールド

訂正-スペインで猛暑による死者1180人、昨年の1

ワールド

米金利1%以下に引き下げるべき、トランプ氏 ほぼ連

ワールド

トランプ氏、通商交渉に前向き姿勢 「 EU当局者が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中