レッドカーペットも高官の出迎えもなし、中国がやってくれたブリンケン米国務長官への辱め
Antony Blinken Gets Muted Greeting As He Arrives in China
米中の衝突を避けるための話し合いをしに訪中したブリンケン国務長官だが(6月18日、北京) REUTERS/Leah Millis
<アメリカに対してここまでやる? 独裁者・習近平の遠慮ない仕打ち>
アントニー・ブリンケン米国務長官は6月18日、きわめて難しい外交交渉を行うために北京に到着した。中国側も大歓迎の姿勢は見せなかった。
<動画>レッドカーペットも高官の出迎えもなし、哀れなブリンケン米国務長官と仏マクロン大統領との差
北京の空港でブリンケンを出迎えたのは、中国外務省のヤン・タオ北米・オセアニア局長とアメリカのニコラス・バーンズ駐中国大使だけ。
米中関係は冷え込んだままで、アメリカの外交トップが中国を訪問するのは5年ぶり。ブリンケン訪中は2月の予定だったが、中国のスパイ気球がアメリカ領空を飛行し、それをバイデン政権が撃墜したことから始まった外交上の騒動で延期された。
写真や映像によると、航空機で到着したブリンケンを歓迎するはずのレッドカーペットはなく、出迎えも少数の関係者だけだった。
アメリカに住んで12年になる中国出身の人権活動家ジェニファー・ツェンは、ツイートでこう指摘した。「空港でブリンケンを迎えたのは、アメリカの大使と共産党ではかなり下のレベルの中国外務省ヤン・タオ北米・オセアニア局長だけだった。レッドカーペットもない。歓迎の群衆も、鼓ひとつの演奏もない。これは、中国の基準と文化によれば、意図的な辱めだ」
マクロン大歓迎との差
英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のスティーブ・ツァン教授は、ブリンケンの訪中は、中国政府にとってはアメリカへの譲歩とみなされていると、本誌に語った。
ブリンケンは「閣僚級高官との対話を再開し、米中関係がさらに悪いほうにシフトするリスクを減らすために、ある種のガードレールを設置しようとしている」とツァンは言う。
「中国は基本的にアメリカに非があると考えており、アメリカ側が『誠意』を示し、中国への敵対的なアプローチを撤回しない限り、話し合う必要はないという姿勢だ」
「つまり、今回の訪問が行われるという事実そのものが、すでに中国政府内ではアメリカへの譲歩とみなされている。ブリンケンが中国にとって価値あるものを提供しない限り、今回の訪問で具体的な成果を上げることできはないだろう」
ツイッターではすぐに、ブリンケン到着の際の地味な応待を、今年4月にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が国賓として訪中した際に受けた大歓迎と比較する声が上がっている。
マクロンの足元にはレッドカーペットが敷かれ、中国外交トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員が空港で出迎えた。儀仗隊や子供たちもマクロンの歓迎に加わった。