衰える日本の自動車産業...日韓接近を促した「世界最大の自動車輸出大国」中国の電気自動車
The China Factor
これは日本の対中輸出全般にも打撃を与えている。22年12月の中国向け輸出は前年比6.2%減となった。23年1月は17.1%もの大幅減、3月になってもマイナス7.7%と、減少傾向が衰える気配はない。
これだけでも日本の自動車産業には大問題だが、EV分野における中国メーカーの快進撃は、もっと大きな問題になる可能性がある。
ボストン・コンサルティング・グループの昨年の予測によると、世界の自動車市場におけるEVの重要性は今後ますます大きくなり、25年までに世界の軽自動車販売の20%、35年には約60%を占めることになりそうだ。
国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、中国は22年、世界のEV輸出市場の約35%を占めた。前年と比べて10ポイントもの拡大だ。
これに対して日本のEV市場でのシェアは、18年は約25%あったが、22年には10%以下に落ち込んでいる。いずれ自動車市場の半分以上を占めることになるEV分野で、中国に大きく後れを取っているわけだ。
日本の経済全体における自動車産業の重要性を考えると、これは重大問題であることが分かる。なにしろ日本の大手企業トップ3のうち2社は自動車メーカー(トヨタとホンダ)であり、自動車産業は直接および間接的に約540万人、つまり日本の労働人口の約8%を雇用している。
自動車と自動車部品は、22年の日本の輸出総額の18%に相当する1360億ドルを稼ぎ出した。このような状況で、世界のEV市場で中国が圧倒的な競争力とシェアを獲得しつつあることは、日本経済にとって大きな危険をもたらす恐れがある。
環境保護団体クライメート・グループの最近の報告書によると、このまま日本の自動車メーカーがEV市場で伸び悩めば、将来的には170万人の雇用と数十億ドルの利益を失う恐れがある。それは日本のGDPが14%落ち込むことにつながりかねない。
韓国は、自動車産業の相対的な重要性は日本より低いが、やはり国の経済の命運を左右する役割を担っており、こうした不安もある程度、共有している。
韓国の自動車産業は20年のGDPの約3%、製造業雇用の11%以上を占めている。国内時価総額トップ10に現代自動車(4位)、起亜自動車(5位)、現代モービス(6位)が名を連ね、1位のサムスンはハイテク自動車部品のサプライヤーでもある。
22年には世界の自動車メーカー上位20社に韓国企業が2社、21年には自動車部品メーカー上位100社に9社がランクインするなど、自動車産業は半導体や電子機器と並んで、台頭する韓国の先進的製造業の象徴になっている。