パソコン・スマホを学習に使う時間が長いほど、子どもの学力が下がるのはなぜか
長時間使うグループでは、学校を休みがちな子が多いのかもしれないが、ICT機器に依存し過ぎることにはマイナスの影響もあるだろう。検索で答えを得ることに慣れると、自分の頭で考えることが少なくなる。デジタル教科書にしても、漢字の書き取りや実験等の体験がおろそかにならないようにしなければならない。
文科省の『デジタル教科書ガイドライン』(2019年改訂版)においても、「学習者用デジタル教科書の使用により、文字を手書きすることや実験・実習等の体験的な学習活動が疎かになることは避けること。漢字や計算等に関する繰り返し学習や学習内容をまとめる等で書くことが大事な場面では、ノートの使用を基本とすること」という留意事項が示されている。
2022年度の『全国学力・学習状況調査』の報告書を見ると、「果汁が含まれている飲み物の量を半分にしたとき、果汁の割合はどうなるか」という問いの正答率は21.6%でしかない(小6児童)。果汁の割合も半分になる、と誤答した子が多かったとのことだ。これなどは、実体験から遊離した機械(デジタル)思考の表れに他ならない。
目的の情報を瞬時に示してくれるICT機器は、授業や学習の効率を高めてくれるが、人間の思考力を奪う危険性も持っている。子ども期において、利用を通り越して「依存」に陥ることの弊害は大きい。