パソコン・スマホを学習に使う時間が長いほど、子どもの学力が下がるのはなぜか
デジタル端末を授業で使うのは日常の光景になったが Drazen Zigic/iStock.
<デジタル機器は、授業や学習の効率を高める反面、思考力を奪ってしまう危険性もある>
教育において、ICT(情報通信技術)機器の活用が推奨されるようになって久しい。「1人1台端末」のGIGAスクール構想はほぼ実現し、デジタル教科書を使う学校も増えてきた。授業では、子どもが端末と向き合う光景が日常となっている。
勉学においてもICT機器は使われているようで、2022年度の『全国学力・学習状況調査』によると、小6児童の73.9%が「普段、勉強のためにスマートフォンやパソコンなどのICT機器を使う」と回答している。デジタル教科書の使用、調べもの、レポートの作成、といった用途だろう。
情報化社会を生き抜く「情報活用能力」を育む上でも好ましいが、気になるデータがある。ICT機器の利用時間と、教科の平均正答率の相関関係だ。上記の調査によると、小6児童の国語の平均正答率は65.8%だが、普段、勉強のためにスマートフォンやパソコンなどのICT機器を1日3時間以上使うグループに限ると54.6%。全児童の数値よりも明らかに低い。
ICT機器の利用時間別に教科の平均正答率を出し、線でつないだグラフにすると<図1>のようになる。左は小6児童、右は中3生徒のデータによる。
予想に反してというか、利用時間が長い群ほど正答率が低い傾向にある。機器を持たない、使わない群は家庭の経済力が低い等の理由が考えられるが、これらを除くと、利用時間が長いグループほど正答率が低い傾向が見られる。どの教科においても、だ。