犬はOKでも60歳以上はお断り 韓国「ノー・シニア」掲げるカフェ登場
ハングルで「ノー・シニア」と書き記したカフェ MBCNEWS / YouTube
<不寛容な社会へなりつつあるのか?>
子供たちのカフェやレストランなどへの入店を禁止する「ノー・キッズ・ゾーン」を掲げる店舗が増えているという韓国。市民からの苦情を受けて済州島では「ノー・キッズ・ゾーン」を禁止する条例を議会で取り上げるなど、大きな社会問題になりつつある。
そんななか、今度は「ノー・シニア・ゾーン」を掲げるカフェが登場してネットで論争が起きている。MBCNEWS、デジタルタイムズなど韓国メディアが報じた。
8日、あるインターネット掲示板に「ノー・シニア」というタイトルと共に投稿された一枚の写真がネットユーザーたちの議論の的となった。
介助犬は歓迎しても、お年寄りはNG
その写真を見るとハングルで「ノー・シニア」と書かれた下に「60歳以上の高齢者の出入り制限」という文章が併記されている。これとは反対にすぐ隣りには「介助犬は歓迎します」というステッカーが貼られている。
写真とともに掲示板に投稿を掲載した人は「参考までにここは閑静な住宅街にあるごく間口の狭いコーヒーショップ」「何かしら事情があるかもしれないが、自分の両親が通るのではないかと思うと怖い」と書いた。
この投稿を見たネットユーザーたちは、老人への嫌悪を助長するとし、カフェの出入り制限の告知が不適切だという意見のコメントを投稿した。彼らは「介助犬は歓迎するという言葉が横にあって、老人は犬よりも劣った存在という意味のようだ」「カフェの店主も60歳を超える日が来るはずだが、中途半端な決定のようだ」「子供嫌悪に続く老人嫌悪だ。韓国は絶えず嫌悪を作る」などの反応を示した。
一方で、カフェの店主を理解できるという意見もあった。彼らは「1人1注文の原則を守らなかった高齢者が多くてそうなんだと思う」「団体で来て他の客に被害を与えるほどうるさく騒ぐ高齢者をたくさん見たことがあるが、そういったお客からの苦情に対する措置かもしれない」「カフェの社長が高齢者に対応できないそれなりの事情があるのではないか」といった書き込みを残した。
社会的に「ノー・キッズ・ゾーン」が受け入れられるなか、さらなる年齢差別が発生したという指摘も出ている。
あるネットユーザーは「ノー・キッズを許容する雰囲気が定着した時からすでに予見されたこと」と皮肉った。このような差別がさらに広がっていくことも警戒しなければならないという声も出ている。あるネットユーザーは「ノー・キッズ、ノー・シニアが結局、ノー・ディスエイブル・ゾーン(障害者立入禁止)、ノー・フォリナーゾーン(外国人立入禁止区域)、こんな風に分化されて、結局は自分自身が属する集団まで影響を及ぼすことになるだろう」とし、「今では理解できないような、黒人立入禁止、ユダヤ人立入禁止のような野蛮なメッセージが、かつては当たり前だったことを忘れてはならない」という意見を明らかにした。