訪日韓国人急増、「いくら安くても日本に行かない」との回答も一変......その理由は?
関西空港の長い行列。多くは韓国に帰国する旅行者のように見受けられた 撮影:佐々木和義
<新型コロナウイルス感染症の拡大を抑制する水際措置の緩和を受け、韓国人が大挙して日本を訪れている......>
筆者は旧正月連休の1月22日から29日まで東京や大阪などを訪問した。成田空港の入国審査は、日本人は待ち時間がなかったが、韓国人は入国審査を終えるまで最短でも30分以上要しており、関西空港も長い行列ができていた。
日本政府観光局(JNTO)が2月15日に発表した2023年1月の訪日外国人は推計149万7300人で、コロナ禍前の旧正月に日本を訪れていた中国人が規制の影響から3万1200人にとどまった一方、韓国人は56万5200人と3分の1を占めていた。韓国人の次に多かったのは台湾の25万9300人で、香港の15万9000人が続いている。
日本製品不買運動の余熱が続いた2020年12月に韓国世論調査会社エムブレイントレンドモニターが行ったアンケート調査で、70.1%が日本製品不買運動に参加したと回答、49.9%が「日本は敵対国だ」と回答し、55.7%が「いくら安くても日本に行かない」と答えた。しかし、2022年12月のアンケートで不買運動に参加したという回答は60.0%に減少、「日本は敵対国」という回答も36.1%まで減少し、「日本に行かない」という回答は26.8%まで急減した。
昨年7月にクレジットカード決済大手のビザが行ったアンケートでも1年以内に行きたい観光地の1位は日本だった。
韓国人が大挙して日本を訪れる理由は主に3つある
22年10月11日、日本政府がビザなし渡航を再開すると韓国内で訪日熱が再燃した。通信販売大手インターパークが10月11日から3か月間に販売した日本行き航空券は前年同期の400倍、コロナ禍前の19年と比べても4.8倍に達していた。
Gマーケットが1月1日から17日に販売した国際航空券は大阪便が最も多く、東京、福岡と続いていた。1位から3位を日本路線が占めたのだ。
韓国人が大挙して日本を訪れる理由は主に3つある。格安航空会社LCCの国際航空運賃はコロナ禍前のFSC (フルサービスキャリア)並みと高額で、FSCのエコノミークラスの運賃はコロナ禍前のビジネスクラスと大差ない。距離が近く便数が多い日本便は以前と比べて高額とはいえ、他の国より安価である。
また、昨年から続く円安で、日本旅行費が低下していることも訪日韓国人の増加に拍車をかけている。
医療インフラから日本を選ぶ韓国人も少なくない。前述のビザが行ったアンケートで、旅行先を選ぶ際、医療インフラを重視すると答えた韓国人はコロナ禍前の1.6倍に増えていた。日本に対する否定的な感情が薄らいだことに加えて、費用や安全面から日本を訪れる韓国人が増えているのだ。