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あるミャンマー脱走軍医の告白──酒と麻薬の力を借りて前線に赴く兵士とその残虐性

A GRISLY CONFESSION

2023年1月26日(木)13時45分
増保千尋(ジャーナリスト)

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デモ参加者を棍棒で殴る警官(ヤンゴン郊外、21年3月) AP/AFLO

妻の死がきっかけで、私は潜伏生活をやめ、友人たちと無料の診療所を始めた。多くの人がコロナで苦しんでいる状況を医師として看過すべきではないと感じたからだ。診療所には毎日100人以上の患者がやって来た。まるで緊急医療病棟のような忙しさだった。

ところが診療所が有名になると、国軍兵士が私の身元を聞いて回るようになった。このとき、CDMに参加していた多くの医師が、患者を治療しただけで逮捕されていた。私は診療所を閉めて、再び逃げ出さなければならなかった。

私を逮捕するのが難しいと分かると、国軍は故郷にいる両親を捕らえようとした。何とか半年ほど前に父母を救出し、タイとの国境を共に渡って、今は一緒に暮らしている。

――クーデター前にも国軍に失望したことはあったか?

軍では多くの人権侵害が横行していた。私が最も許せないのは、戦闘によって心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した兵士に何の治療も施さないことだ。彼らは酒と麻薬の力を借りて、前線での任務を継続している。

この国では70年以上、内戦が続いていて、多くの兵士がPTSDを抱えている。だが、病院で治療を受けられるのは、精神に異常をきたしたと明らかに分かる人だけだ。

今は国中で戦闘や殺し合いが起きているから、PTSDになる人も増えている。私の見立てでは、脱走兵の5、6割がPTSDに苦しんでいると思う。

ほかの脱走兵に聞いたところによれば、精神的な不調を抱えながら前線に立つ兵士のほぼ全員が酒と麻薬を服用しているという。兵士たちは国境警察から麻薬を入手しているそうだ。酒と麻薬を摂取すれば恐怖心が薄れ、村を焼くといった、普通の精神状態なら決してできないような行為も抵抗なくやれるという。

――だから国軍兵士は、一般市民にも暴力を振るうことができるのか?

兵士たちが一般市民にあそこまで残虐になれるのは、軍内部で洗脳されているからだ。民主化運動を率いる国民民主連盟(NLD)が政権を取ればこの国は破滅に向かい、仏教が脅かされ、他国に支配されると、彼らは上官に長年言われ続けてきた。

兵士たちの多くはこの話を信じ、自分たちは祖国を守っていると思っている。実際には、全く正反対のことをしているというのに。

彼らは(戦闘から離脱した兵士、捕虜、武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた)国際人道法について何も知らないし、兵士としての倫理観も持ち合わせていない。彼らはただ、上官に盲目的に従うように訓練されている。

戦場で彼らに善悪の判断がつくとは思えない。村に火を放ち、子供を殺しても、それは国軍兵士にとっては特別なことではないのだろう。

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