中国を追うアメリカ、さらに日本も参戦...再び動き出した「アフリカ争奪戦」と「再分割」
AN AFRICAN AGENDA
ではアメリカはどうすればいいか。遅ればせながらアフリカの重要性に気付いたのは悪くない。
だが、その思いをアフリカ諸国の人々に伝えたいなら、影響力を拡大させるための盛大な首脳会議などはやめたほうがいい。あれは往年のフランスがアフリカの植民地を従えるために考案した「上から目線」の仕組みであり、最近は中国なども大々的に開催しているが、無駄だ。地味でも堅実に、持続的に関係を深めていくのがいい。
その際のツールは、道路や港湾の建設ではない。現地の人が潤う経済だ。アメリカ政府は自国の企業を促して、アフリカ諸国の天然資源(天然ガスから希少金属まで)を搾取するのではなく、現地の人々を本当に豊かにする製造業や知識産業に投資させるべきだ。
そのために必要な政治力や意欲が、今のアメリカ政府にあるかどうかは分からない。だがまずは高官レベルの、願わくば首脳レベルの会合を各国と頻繁に開き、その際にアメリカの財界代表団を同行させ、現地企業との間で持続可能な(つまり化石燃料や鉱物資源に依存しない)ビジネスモデルを模索することが大事だ。
今のアフリカ諸国が何を必要としているかは明らかだ。よそでも書いたことだが、あの大陸では前代未聞のペースとスケールで都市化が進んでいる。しかしまともな都市計画を欠く例が多すぎる。大規模な住宅建設に投資し、年金や保険基金、鉱物資源や原油からの収入を都市整備に回す金融システムも構築したい。
今世紀半ばまでに世界の18歳未満の人口の約4割はアフリカ人に、今世紀末には世界人口の4割はアフリカ人になる。この数字を見てアフリカが教育の巨大市場であることに気付かないなら、あなたの目は節穴だ。
欧米諸国は選択を迫られている。今後数十年で、アフリカからの移民が激増するのは必至だ。そういう事態を嘆くのか、先手を打って教育分野でアフリカ諸国との連携を深めるのか。小学校から大学までの教育体制を拡充し、質の高い教育を通じて知識集約型の仕事に就く人材を育てる。それがアフリカ諸国の願いだ。
しかし、いま新たなアフリカ分割に乗り出している諸国には、そうした願いに応える姿勢が見られない。残念だ。そろそろ考えを改めて、出直してほしい。
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