最新記事

地政学

中国を追うアメリカ、さらに日本も参戦...再び動き出した「アフリカ争奪戦」と「再分割」

AN AFRICAN AGENDA

2023年1月6日(金)17時38分
ハワード・フレンチ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

ではアメリカはどうすればいいか。遅ればせながらアフリカの重要性に気付いたのは悪くない。

だが、その思いをアフリカ諸国の人々に伝えたいなら、影響力を拡大させるための盛大な首脳会議などはやめたほうがいい。あれは往年のフランスがアフリカの植民地を従えるために考案した「上から目線」の仕組みであり、最近は中国なども大々的に開催しているが、無駄だ。地味でも堅実に、持続的に関係を深めていくのがいい。

その際のツールは、道路や港湾の建設ではない。現地の人が潤う経済だ。アメリカ政府は自国の企業を促して、アフリカ諸国の天然資源(天然ガスから希少金属まで)を搾取するのではなく、現地の人々を本当に豊かにする製造業や知識産業に投資させるべきだ。

そのために必要な政治力や意欲が、今のアメリカ政府にあるかどうかは分からない。だがまずは高官レベルの、願わくば首脳レベルの会合を各国と頻繁に開き、その際にアメリカの財界代表団を同行させ、現地企業との間で持続可能な(つまり化石燃料や鉱物資源に依存しない)ビジネスモデルを模索することが大事だ。

今のアフリカ諸国が何を必要としているかは明らかだ。よそでも書いたことだが、あの大陸では前代未聞のペースとスケールで都市化が進んでいる。しかしまともな都市計画を欠く例が多すぎる。大規模な住宅建設に投資し、年金や保険基金、鉱物資源や原油からの収入を都市整備に回す金融システムも構築したい。

今世紀半ばまでに世界の18歳未満の人口の約4割はアフリカ人に、今世紀末には世界人口の4割はアフリカ人になる。この数字を見てアフリカが教育の巨大市場であることに気付かないなら、あなたの目は節穴だ。

欧米諸国は選択を迫られている。今後数十年で、アフリカからの移民が激増するのは必至だ。そういう事態を嘆くのか、先手を打って教育分野でアフリカ諸国との連携を深めるのか。小学校から大学までの教育体制を拡充し、質の高い教育を通じて知識集約型の仕事に就く人材を育てる。それがアフリカ諸国の願いだ。

しかし、いま新たなアフリカ分割に乗り出している諸国には、そうした願いに応える姿勢が見られない。残念だ。そろそろ考えを改めて、出直してほしい。

From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 2
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中