合同結婚式、韓国ではこんな「勧誘」がされていた......「宗教二世」日本人女性の壮絶体験
その結果、著者は19歳の青年との結婚が決まる。問題は、そこに至る「マッチングの基準」だ。韓国の統一教会では、「統一教会に入会すると日本人と結婚できる」と信仰より結婚を前面に出して伝道しているらしいのである。
特に韓国では「日本人女性はよく働く」と言われていました。自分で相手を見つける努力をしなくても「理想の相手」を選んでもらえるし、自前で結婚するよりもずっと安い費用で嫁がもらえるという、これ以上にない機会でした。数合わせのため、ただ結婚目的で集められた男性たちは、とりあえず教義を信じたフリをして合同結婚式を済ませれば、それでジ・エンドなのです。(26ページより)
そんな事実を知らないまま結婚した相手は、子どもができたと告げても「俺の人生終わったな」としか答えないようなDV夫。どれだけ努力しても生活は困窮する一方で、やがて離婚を決意する。
ところが、そののち離婚後に教会の教区長から勧められた相手と再婚するも、その男も借金を抱えた"働かない男"だった。やはり、結婚目的の人物だったわけだ。
かくして壮絶な結婚生活を送ることになるのだが、その詳細についてはここに書くまい。あまりにも密度が濃すぎるし、ぜひとも実態は自身の目で確かめてほしいからだ。
また、同じ理由で、著者が洗脳から解けた理由にも触れないでおく。果たしてどのような結末を迎えることになるのか、「宗教二世」が取り沙汰される昨今だからこそ、ぜひとも確認していただきたいところである。
『カルトの花嫁――
宗教二世 洗脳から抜け出すまでの20年』
冠木結心 著
合同出版
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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。新刊は、『書評の仕事』(ワニブックス)。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。