最新記事

ミサイル

「広島原爆の12倍の威力」、ロシアがICBM「ヤルス」設置映像を公開...「軍事任務に就ける」

Russia Primes Nuclear Bomb 12 Times More Powerful Than Dropped on Hiroshima

2022年12月17日(土)11時10分
ブレンダン・コール
軍事パレードでのヤルス

軍事パレードで披露されたICBMヤルス(2017年5月) Maxim Shemetov-Reuters

<ロシア国防省が大陸間弾道ミサイル「ヤルス」を発射台に移す映像を公開。核兵器使用という脅威が近付いているのか>

ロシア国防省は12月14日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」を、カルーガ州にある地下格納庫の発射台に移す様子を撮影した映像を公開した。ロシアのメディアはこの兵器を「広島原爆の12倍の威力」と表現し、ロシアの核能力について、西側諸国に警告のメッセージを送るための映像公開だと報じている。

■【動画】ミサイルと発射台の巨大な姿...ロシアが公開した「ヤルス」ミサイルを発射台に移す様子

ロシア政府寄りのメディア「コムソモリスカヤ・プラウダ」は「ヤルス」について、「アメリカが(1945年8月6日に)広島に投下した原子爆弾の12倍の威力」があると報道。射程距離は最大1万2000キロメートルと、アメリカやヨーロッパのどこでも攻撃することが可能で、ペイロード(弾頭部分の積載重量)は最大500キロトンにのぼるとも説明した。

軍事専門サイトの「ミリタリー・トゥデイ」によれば、「ヤルス」の重さは4万9000キログラム(49トン)。「RS-24ヤルス」は「トーポリM」を基盤に開発されたもので、西側諸国では「SS-29」として知られている。モスクワ熱技術研究所が開発して2007年に初めて発射実験が行われた。

また「ミリタリー・トゥデイ」によれば、ヤルスは7分間で発射準備が整い、屋根がスライド式になっている特殊な格納施設か、あるいは事前に準備された場所ではなくても現場に展開されているなかで発射が可能だ。

ヤルスの移送作戦は「重要な意味を持つ」

ロシア国防省は14日、ヤルスを特別な機材と輸送手段を使って地下格納庫に設置したと述べ、移送作戦には数時間かかったと明かした。作戦は、12月17日の「戦略ミサイル軍の日」の関連行事として実行された。

カルーガ州コゼルスキー地区にあるミサイル部隊基地のアレクセイ・ソコロフ司令官は、「今回の作戦は、計画どおり次のミサイルが戦闘任務に就ける状態にあるという点で重要な意味を持つ」と説明。ロシア国営タス通信によれば、彼はさらに「我が国は、戦略レベルで全ての任務の解決をもたらしてくれる、新たな核ミサイル兵器を迎え入れることになる」と述べた。

タス通信はまた、「祖国ロシアがこのような製品を導入し、ロシアが平和に眠れるようになったことを誇りに思う」というエンジニアのバディム・ビアゾフスキーの言葉を引用して伝えた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航

ワールド

ゼレンスキー氏は「私が承認するまで何もできない」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中