睡眠補助サプリで、子供の「中毒」事故が急増中──気を付けるべきことは?
Taking Too Much Melatonin
他の国では規制の対象であり、しかも以上のような影響があるのに、なぜアメリカのメーカーは高用量で販売するのか。おそらくメラトニンの大量摂取は即効性があるからだ。5ミリグラムも飲めば、本物の睡眠薬や抗ヒスタミン剤と同様にすぐ眠くなる(本来、眠るために抗ヒスタミン剤を服用すべきではない)。
それに睡眠導入剤のアンビエン(ゾルピデム)を医師に処方してもらうより、ドラッグストアでメラトニンを買うほうがずっと簡単だ。メラトニンを飲むと二日酔いのような症状や悪夢に悩まされるといったよく聞く苦情は、実は過剰摂取の副作用なのだ。
ラベル表示に偽りがある場合も
アメリカではサプリ扱いで、米食品医薬品局(FDA)の規制対象薬ではないため、メーカーは高用量のメラトニンを販売できる。さらにラベル表示が虚偽の可能性もある。
全米睡眠医学学会の研究者が17年に臨床睡眠医学ジャーナルで発表した論文によると、30種類以上のサプリのメラトニン含有量を調べた結果、ラベル表示より83%少ないものから478%多いものまで、70%以上の製剤でばらつきがあった。5ミリグラムのメラトニンを摂取しているつもりが、実際には30ミリグラム近く摂取している可能性がある。
一般にメラトニンは少量を短期間摂取するだけなら、全く問題ないとされている。だが長期的な使用については、十分な研究がまだない。ホルモンの一種なので、専門家は思春期におけるホルモンの発達に影響を与える可能性があると懸念する。
子供の睡眠トラブルにメラトニンの短期使用を検討することを推奨する専門家は多くいるが、使用前に小児科医に確認すべきだ(成人でもメラトニンの服用自体、事前に医師に相談したほうがいい)。
アメリカでは19年の段階で17人に1人の子供が週に1回以上メラトニンを服用している。CDCの調査開始時点では、魚油のサプリに次いで「アメリカで子供が最もよく使用する天然由来の製剤」だった。CDCの報告書が示唆するように、消費者がメラトニンを今後もどんどん買い続ければ、この数字もさらに増える可能性が高い。
では、親が自分の睡眠トラブルとのバランスを取りながら、子供たちの安全を守るにはどうしたらいいか。まず、自分(または子供)にメラトニンが必要かどうかを考えよう。深刻な不眠の多くは、生活習慣の見直しと睡眠環境の改善で治療可能だ。
もしメラトニンが手放せないのであれば、用量の少ない製剤を買う。必要な摂取量はあなたが思うほど多くないかもしれない。幼い子供がいる場合は、お菓子と混同しにくいものを選ぼう。かんで服用できるチュアブル錠やグミ、チンキ剤などではなく、しっかり飲み込まなければならない錠剤を選ぶのもポイントだ。
最後に、メラトニンは棚の一番上に保管するか、子供が手を出せない鍵のかかるキャビネットに保管するのがベストだ。つまり、FDAがやらないこと──薬品として扱うことが重要なのだ。
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