NASAが「泳ぐ探査機」を発表 大量展開で生命の兆候を一挙取得へ
SWIMが目下念頭に置いているのは、木星の衛星であるエウロパや、土星の衛星のエンケラドゥスなどの探査だ。これらの惑星は氷で覆われた表面の下が液体で満たされており、遊泳型ロボットの強みを存分に発揮できる。
科学ニュースサイトのZMEサイエンスは、「数十年前であれば天文学者たちがこれらの世界(衛星)を重視することはなかったが、みかけ以上に可能性があることが近年の研究によって示唆されている」と説明している。
データの同時収集で、生命を探る「嗅覚」に
遊泳型のロボットにはさまざまな利点があるようだ。クライオボットは氷を溶かすために熱を放出するため、その周囲でデータを収集した場合、測定値が影響を受けるおそれがある。しかしSWIMの場合、小型ロボットたちが探査機から遠く離れた場所まで移動してから測定を行うため、人工的な熱の影響を受けることがない。
ロボットは群れとして自律的に行動し、データ収集に適した陣形に展開する設計だ。考案者のシャーラー氏によると、個々のロボットから寄せられたデータに勾配がみられた場合、エネルギー量や化学物質量の多い方に群れを進ませることで、原始的な生命を効率よく発見できるという。
宇宙の探査といえば、火星など惑星にスポットライトが当てられがちだ。だが、海をもつエウロパやエンケラドゥスなどの惑星は現在、太陽系内で原始的な生命が存在する可能性の最も高い場所だと考えられている。将来的にSWIMのロボットから、驚くようなデータが報告される日がくるのかもしれない。