参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」
私の掲げている政策は「セックスワークのシングルイシュー(*2)」のように思われることもあるようですが、全くそんなことはありません。先ほど述べたようなさまざまな社会課題は当然どれも重要です。当選したらそういった課題にも1つずつ取り組んでいきます。
(注釈)*1:1989年の参院選にて、土井たか子委員長の率いる社会党は改選22議席の2倍超の46人が当選。全国で22人の女性議員が誕生し「マドンナ旋風」と呼ばれ、大きな話題となった。
(注釈)*2:一つの事柄に焦点を絞って、賛成・反対を問うという政治手法。
――「性産業のことは性産業で働く人たちが決めるという、当たり前のことを普及させたい」など11の政策目標を掲げていますが、最も重要だと考えているものは?
やはり命に直結することの優先順位は高いと思います。
セックスワークの場合、店舗型風俗は法律で厳しく制限されているので、新規開業がほとんどできず衰退の傾向にありますが、データによればこの店舗型では凶悪犯罪がほとんど起きていません。スタッフがいて、最低限の監視の目があり、何かあったときには駆け付けられることなどが理由です。
一方で、店舗型の規制が厳しくなった代わりに増えている無店舗型風俗(デリヘルなど)では、仕事場となるホテルなどで殺人や暴行などの事件が多数起きています。規制を厳しくすることで、追いやられた当事者や事業者が更なる危険にさらされるというケースは、データでも実証されています。
安全な場所を確保することは急務です。痴漢やその他の暴力などもそうですが、どういう条件が揃うと起こりにくいのかというデータは必ずあるので、人命を最優先に1つずつ整備していく必要があります。
――AV新法をめぐっては、塩村あやか氏、井戸まさえ氏、堤かなめ氏など、賛否両論の立憲民主党議員・元議員の発言が取り沙汰されました。要さんは「当事者の声を聞いて議論を進めるべきだ」という姿勢を取っていますが、当選した場合に党内でどんな対話をしていきたいですか?
大前提として、フェミニストにもいろいろな考えの人がいます。大まかに言うと、性産業そのものへの規制を厳しくし、市場自体をなくしていくべきという考え方のフェミニスト(北原みのり氏や井戸まさえ氏など)をラディカルフェミニストと呼ぶことがあります。
彼女たちの話しか聞いたことがない人は、当然強い影響を受けると思います。だからこそ私が入ることで、そうじゃないフェミニストの話も聞く機会ができ、誰が何で困っているのかをきちんと見つめて、バランスを取ろうと考えてくれる議員も増えるのではないでしょうか。