最新記事

日本政治

参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」

2022年6月25日(土)21時10分
ヒラマツマユコ(ライター)

220625web_kiv02.jpg

要友紀子(かなめ ゆきこ)氏

AV新法の件では、当事者団体10団体を集め「AV新法の対話集会」というものを衆議院会館で開催したのですが、聞きに来てくれた議員は川田龍平氏1人で、代理で秘書が出席という人が4~5人いるだけでした。国会議員700人近くにメールで声をかけ、関係が深そうな議員の事務所は直接訪ねたにも関わらずです。これが2つめの絶望です。

この3つの法律に関して「話を聞いてもらえない」「進捗を開示してもらえない」「何もコミットできなかった」という絶望体験がありました。

2~3年後にこれら法律の見直しのタイミングがきますが、10団体以上ある当事者団体が全くコミットできないのはまずいという危機感が強く、応募の決断につながりました。今回、当事者として出馬しているのは私だけですが、セックスワークに理解がある候補者は他に何人もいるので、それだけでもまずはいい流れだと感じています。

――性産業従事者の声を聞こうとしない多くの議員もそうですが、職業差別をしている人たちの大半は無自覚だと思います。まず、自覚をしてもらうためにはどうしたらいいでしょうか?

SNSでの発信以外でも、マスコミの取材依頼がいくつも来ていて、なるべく答えるようにしていますが、まずはそうしたメディアに載った私のコメントを読んでほしいです。

もし当選することができたら、議員さんたちと人間として知り合って、仲良くなって対話をしたいです。やっぱり、全く知らない友達でもない人の話ってそんな聞きたいと思わないじゃないですか。だからこそ「外からギャンギャン言ってる人」ではなく、「内側の人」になることが有意義だと考えています。議員になる意味ってそこだと思います。私が意外と穏やかな人間であることも知ってもらえると嬉しいです(笑)。

――政治への関心はいつ頃から持ち始めたのでしょうか。

1989年の土井ブーム(*1)には影響を受けましたね。女性政治家が多数登場するところを小学生のときに見た経験は大きいです。

その後、田嶋陽子さんの流行があり、彼女の本も読んでいました。女性として政治参加が当たり前だと思えるようになったきっかけで明確なのは、この2つだと思います。

その後、20代からSWASHの活動をしていて、政治には関心があるほうだったと思いますが、当時は実績がないので選挙に立候補するという選択はできませんでした。

それからひたすら活動をしていく中で、セックスワークの問題はいろいろな社会課題と複雑に重なっていて、既存の社会活動・人権活動とも関わりがあるのだと実感していきます。

路上生活者の問題、シングルマザーの困窮、セクシュアルマイノリティや人種差別問題、学費問題、学歴主義社会、そういった社会的弱者や貧困の問題は全てセックスワークにも密接に関わっています。全てが人権の問題です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏への量刑言い渡し延期、米NY地裁 不倫口

ビジネス

スイス中銀、物価安定目標の維持が今後も最重要課題=

ワールド

北朝鮮のロシア産石油輸入量、国連の制限を超過 衛星

ワールド

COP29議長国、年間2500億ドルの先進国拠出を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中