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ウクライナ情勢

すっかりピョートル大帝気取りのプーチンだが、この戦争に勝者はいない

How Russia Turned Its War Around

2022年6月22日(水)14時20分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

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激戦地セベロドネツクで応急処置を受けるウクライナ側の負傷者 RICK MAVEーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

第1に、戦闘の大半は近距離で行われる。砲撃の応酬になれば、自軍にも敵と同じくらいの被害が出る(攻撃側には隠れる場所がないから、守備側より多くの死者が出る可能性が高い)。

第2に、ロケット砲の射程はせいぜい数十キロだから、ウクライナ領の奥深くまでロケット砲を運ぶ必要がある。そうなると、途中で補給線を断たれるリスクが高まる(食料や燃料が尽きれば、大切な武器も奪われかねない)。

つまり、当初の作戦ではロシア軍の弱点ばかりが目立ち、強みを生かせなかった。

しかしキーウの攻略を(少なくとも現時点では)放棄して部隊を東部戦線に移動させてからは、戦況がロシア側にとって有利になった。

なにしろロシア軍(表向きは「親ロシア」の民兵組織)は東部ドンバス地方で8年も前から戦っている。ドンバスでも西半分はウクライナ側の支配下にあったが、東半分は親ロシア派が実効支配してきた。だから補給面の心配はない。そして地形はおおむね平坦だから、奇襲攻撃を狙ってウクライナ軍が隠れる場所は皆無に等しい。

しかも地面は春の雨でぬかるみ、兵士たちは迅速に動けない。だから塹壕に身を潜めているのだが、そういう兵士は砲撃やミサイル攻撃の格好の標的だ。そして砲撃戦ならロシアが有利。手持ちの爆弾や砲弾は多いし、ロケット砲の射程も長い。だから、ウクライナ側のロケット砲が届かない場所から攻撃できる。

アメリカ政府は先に、ウクライナがロシアと対等に戦えるように、今までより射程の長いロケット砲の供与を決定した。しかし、これらの兵器が前線に届き、兵士が使い方を覚えるまでには時間がかかる。それでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、アメリカ政府の対応が遅いと不満を漏らした。

基本的に、塹壕戦では敵の防衛線を突破して背後に回り込み、全方向から包囲するのが理想的な戦術だ。現時点では、まだそこまではできていない。しかしロシア側の優位は明らかで、彼らはウクライナ軍を後退させ、ドンバス地方での支配地域をじわじわと、確実に広げている。

だからといって、この戦争でプーチンが勝利を収めつつあるわけではない。射程の長い飛び道具が手に入れば、失った土地の一部をウクライナ側が奪還し、ロシア軍を押し返すことも可能だ。

いずれにせよ、この戦争ではどちらの側も、電撃的な勝利は望めそうにない。ロシア側にもウクライナ側にも、それを可能にするほどの兵士がいないからだ。

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