最新記事

ミツバチ

盗まれたミツバチ40万匹、飼い主の元に戻り始める

https://www.newsweek.com/stolen-beehive-bees-returning-home-cornwall-uk-1717528

2022年6月22日(水)15時35分
ジェシカ・トムソン

養蜂家の飼い主は新しい巣箱を作って帰りを待っている(イメージ写真) Sushaaa-iStock.

イギリスの農村地帯で盗まれたおよそ40万匹のミツバチが、脱出して「家」に戻る途上にある。

このミツバチたちは6月11日夜、コーンウォール州にある邸宅ホテル「トレシリアン・ハウス)」から盗まれた。窃盗犯が盗んだ5つの巣箱には、それぞれ8万匹のミツバチが入っていた。

盗まれたミツバチたちは脱走して元いた場所を探し、「家」に徐々に姿を現し始めている。養蜂家たちは、到着するハチたちを新しい巣箱に戻している。養蜂助手のキャスリン・バーンズは、地元ニュースサイト「ファルマス・パケット」に対し、盗まれたミツバチたちは近くまで来ていると思うと話した。

「ミツバチたちが匂いをたどっているのなら、いずれみんな戻って来る。そう期待している」とバーンズは話した。「移動した距離が1マイル(約1.6キロ)未満なら、ミツバチたちは元いた場所に戻って来る」

すぐれた方向感覚

ミツバチは、きわめてすぐれた方向感覚を備えている。米粒ほどの大きさの脳しか持っていないにもかかわらず、餌を探しているときには、巣から離れる飛行の途中で得た断片的な情報を利用し、自分の移動した距離や移動速度を測定している。

ナビゲーションには太陽の位置を利用する。紫外線を見ることができるので、いついかなるときにも太陽の方角を知ることができる。さらに、短距離のナビゲーションを行う時には匂いも利用する。自分と女王バチの間にいるミツバチたちのフェロモンを嗅ぎとり、全体的な地図を作成しているのだ。

デボン・コーンウォール警察が発表した声明のなかで、スティーブ・アップルホワイト巡査部長は次のように述べた。「この犯罪では、個人の財産が盗まれただけではなく、私自身養蜂家として、盗まれたミツバチたちの健康状態が懸念される」

「一部のミツバチが、盗難前に巣箱があった場所に戻ってきたと聞いている。すると、盗まれた巣箱が持ち去られた場所もトレシリアン・ハウスからそう遠くなかった可能性がある」

トレシリアン・ハウスの養蜂家たちは、ミツバチが戻ってきたことに歓喜している。中心的な養蜂家ガイ・バーンズの妻キャスリンは、フェイスブックに投稿した文章のなかで次のように述べている。「(盗まれた日の前日に)点検したばかりで、成長ぶりを喜び、夏の収穫を楽しみにしていた。巣箱にいるのは8万匹のミツバチだけではない。養蜂に捧げられた献身、気配り、努力、そして責任も存在しているのだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ニデック、4―9月期純利益58%減 半期報告書のレ

ビジネス

年内に第三者委員会から最終報告が出る状況にはない=

ビジネス

26年春闘の要求、昨年より下向きベクトルで臨む選択

ビジネス

仏CPI、10月前年比+0.8%に減速 速報から下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中