実はアマゾンも危ない? 巨大テック企業「無敵神話」を疑え
アメリカ・シアトルの無人コンビニ店舗 「Amazon Go」 400tmax-iStock
<「GAFA+Netflix」の株価が伸び悩んでいる。今は無敵と思われている企業も、永遠に「巨人」であり続けるとは限らない。デジタル・プラットフォーム企業の未来予想図とは?>
今年に入り、グーグル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップルのいわゆる「GAFA+Netflix」の株価が伸び悩んでいる。ネットフリックスに至っては、4月に株価が暴落したことは周知のとおりだ。
これは投資家の成長期待が鈍化している表れであり、今後も低下することを懸念する動きがある。一方で、一時的な停滞であり、今後も成長することが期待できる、むしろ買いのチャンスだと考える人もいる。
絶対強者であるGAFAのこの現象をどう考えればいいのだろうか。
『巨大テック企業 無敵神話の嘘 GAFA+Netflix+Xの勝者と敗者』(ジョナサン・A・ニー・著、CCCメディアハウス)では、GAFA、Netflixをはじめ、注目すべきさまざまビジネスモデルやその実情を分析。
コロンビア大学MBA教授であり、エバーコア銀行のシニアアドバイザーを務めるジョナサン・A・ニー氏は、一般の人どころか投資家や経営者に至るまで当たり前のように信じられている「プラットフォームの妄想」に警笛を鳴らす。
プラットフォーム4つの妄想
「プラットフォームの妄想」は、次の4つの誤った考え方により支えられているという。(28ページ)
「プラットフォームの妄想」に関する中心的な考え
1 プラットフォームは、画期的な新しいビジネスモデルだ
2 デジタル・プラットフォームは、構造的にアナログ・プラットフォームより優れている
3 すべてのプラットフォームは、強力なネットワーク効果を示す
4 ネットワーク効果は、否応なしに「勝者ひとり勝ち」モデルへとつながる
これらは、一般的に考えられているプラットフォームのイメージだろう。しかし、著者は明確な間違いを指摘する。
たとえば「デジタル・プラットフォームは、アナログ・プラットフォームよりも優れている」という点だ。それに対し、著者は本書でそれぞれの事業特性を比較する。
アナログ・プラットフォームの例としてあげているのが、ショッピングモールだ。そのメリットとして、まず売り手の長期リースが確約している。そして、その性質上、近くに競合するショッピングモールが存在する可能性が低い。
つまり、買い物客が他の選択肢を選びにくいのだ。モールの運営者は投資家に対し、大きな利益を保証することにつながる。