ウクライナ避難民の子どもたちにも春 異国の地で入学、新たな日々がスタート
ドイツも学校でのウクライナ人教師の採用を検討している。同国メディアが伝えた。
200万人以上のウクライナ人を受け入れたポーランドは、法律を変えてクラスの規模を拡大。教育予算を増やし、親のためのホットラインを設けた。10万人以上のウクライナ人児童が学校に登録済みで、今では約半分の学校にウクライナ人の生徒がいる。
ある程度ポーランド語を話せる児童は通常のクラスに入り、その他の児童はポーランド語を学びつつ、通常クラスと分けて授業を受けている。
政府はまた、ポーランド語を話せるウクライナ人が授業補助の仕事に就けるよう、通常の採用規則の適用を免除した。
教育省の報道官、アンナ・オストロフスカ氏は「子どもたちを助けるために必要なら、私たちは法律も学校の組織も変える。連帯が大きく広がっている。とても感動的だ」と語った。
トラウマの懸念
難民専門家の間からは、言語支援に当たる教師や、トラウマを抱えた子どもたちへの心理的支援の不足を懸念する声も上がっている。
バルバラさんを含め、多くの子どもたちの父親は戦争で戦っており、祖国に残る親戚もいる。砲撃や、愛する人の死を目撃した子どももいる。
バルバラさんの母、タチアナさんは「子どもたちは今もニュースを聞き、何が起こっているか知っているので心配だ」と話す。バルバラさんは父を恋しがり、毎日チャットアプリで父と話をしているという。
祖父はウクライナ南部ザポリージャの小児科医で、ロシアによる南部マウリポリ爆撃で負傷した子ども達を手当てしている。
「家を出る日、バルバラはずっと泣いていた。もうすぐ終わるからね、と話して聞かせたけれど、再び故郷を目にできるのはいつなのか、そんな日が来るのかどうかなど、だれも知らないのが現実だ」とタチアナさんは語った。
アイルランド、ポーランド、英国の教育省は、メンタルヘルス面の支援も提供するとしている。ただ、ウクライナ語でそれができるかは不明だ。
多くの欧州諸国と同様、アイルランドも深刻な住宅不足に陥っているため、難民の子どもの多くは専門家による支援を得にくい郊外に住むことになるかもしれない、と難民支援団体は指摘する。
バルバラさんが入った学校は、難民の子どもを他の生徒と同じクラスに編入させようとしている。ただ、暖かく歓迎してもらってはいるが、休憩時間は大変だとバルバラさんは言う。「だれも私たちの言うことを理解してくれないから焦った」。語学アプリでもっと英語を勉強するつもりだという。
デジタル化が追い風
コロナ禍中にオンライン学習が広がったことは、入学先が決まるのを待つ多くの子どもたちの役に立つかもしれない。
ウクライナの学校の一部は戦争が始まって以降もオンライン授業を続けており、国外からもアクセスできる。
欧州連合(EU)諸国の教育省も、難民の子どもを助けるためにデジタルコンテンツをプールする方法を模索中だ。
英国では、コロナ禍中にオンライン教育を施すために設立された慈善団体、オーク・ナショナル・アカデミーが、既に1万本の授業をウクライナ語に翻訳した。理論上、児童は英語のカリキュラムをウクライナ語で履修できることになる。
アイルランドにいるバルバラさんは算数の勉強に熱を入れ、日々新しい単語も覚えている。学校が子どもたちに日常の感覚を蘇らせる助けになった、と母のタチアナさんは言う。
「なるべく物事を前向きに受け止め、これが子どもたちにとって冒険として思い出に残るよう願っている」
(Emma Batha記者)
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