中国が南シナ海全域で、海底から大量の「砂」をかき集めまくっている理由
THE GREAT SAND GRAB
気候変動の影響を最も受けやすい沿岸地域の住民は、特に大きな危険にさらされている。17年にベトナムでは、バンナオ川の川岸が800メートルにわたり突然陥没し、家や道路がのみ込まれた。ミャンマーでは、河川沿岸の肥沃な農地が浸食されている。
気候変動による海面上昇が進めば、こうしたインパクトは一段と深刻になるだろう。ハリケーンやモンスーンが襲来したとき、沿岸地域は大規模な水害に見舞われやすくなる。アメリカでも人口の40%近くが沿岸地域に住む。世界の10大都市のうち8つは海や川の沿岸に位置する。「現在の砂の採取ペースは持続不可能だ」と、カナダ・マギル大学のメッテ・ベンディクセン助教は語る。
だが、世界中で都市化が進むなか、住宅やインフラの建設(つまり砂の需要)は拡大する一方だ。「人口の増加と、農民の都市への移住、そして経済発展が、砂資源にとっての3大プレッシャーとなっている」と、ペドゥジーは指摘する。「政府がこの見通しに基づく対策を講じることが非常に重要だ」
さもないと、気候と地域開発、そして砂の上に生きる人類全体が大きな危険にさらされかねない。「まだ危機は避けられる」と、ペドゥジーは言う。そのためには、「もっと賢い砂の使い方をする必要がある」。
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