航空機が折り重なるイラン空港の異様な衛星画像は何を意味するのか
Pile of Planes 'Cannibalized' for Parts at Iran Airport Stuns Internet
テヘラン近郊のメヘラーバード国際空港。飛行機が折り重なるように駐機する異様な光景の理由は? ©︎2022 CNES/Airbus, Maxar Technolofies-Google Earth
<そこは経済制裁下で40年間、古い飛行機のつぎはぎで運行してきた解体の現場、航空機の墓場だ。飛べなくなるのも時間の問題かもしれない>
アメリカなど西側諸国から経済制裁を受けながら生き延びるのは容易ではない。イランの航空会社がそのいい例だ。厳しい制約のなかでなんとか運航を続けているが、イランの空港に駐機している数多くの航空機の画像がインターネットで公開され、波紋を広げている。
話題になっているのは、テヘランにあるメヘラーバード国際空港を上空から撮影した写真で、今年1月にソーシャルニュース・サイトのレディットに投稿された。サイト内のフォーラム「Interesting As F*** 」にアップロードされた写真には、1万以上の「いいね!」がついた。
この画像は、2022年に宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズがグーグル・マップ用に撮影したもの。大小合わせて20機ほどの飛行機がメヘラーバード国際空港の敷地に雑然と並んだ様子が写っている。
一部のレディット・ユーザーからは不信の声が上がった。「これが現在、使われている空港であるわけがない......そうだろう?」と、その1人、Upbeat_Giraffe8364は問いかけた。
正常な状態には見えないこの光景は、まさにイランの瀕死の航空業界の現実を露わにしている。制裁のために航空機の部品や新型機の発注ができないため、中古の航空機をバラバラにされ、部品を再利用しているのだ。
レディット利用者の一人、AntiheroZer0はこう指摘する。「青い屋根の建物の周りを見て。地面にエンジンがずらりと並べられている」
空港が飛行機の墓場
Houdinii1984も指摘した。「左端にある中ぐらいの飛行機は、翼の一部が欠けている。部品を再利用しているというのは本当だったんだ」
Scrotius_Minimusもコメントする。「747機をよく見て。エンジンカウルが開いている。おそらくエンジンは取り外されているね。部品として最初に取り出されるのはエンジンだから」
Sofarbeyondfuckedはこう付け加えた。「大正解だ。ここに見えている飛行機は、他の航空機を修理するために、部品を取られている。飛行機の共食いってわけだ」
1969年から1978年までイラン航空にパイロットとして勤め、メヘラーバード空港を利用した経験のあるロス・アイマーの説明によれば、写真の飛行機はすべて民間の旅客機で、機体はボーイングやエアバス、一部ロシア製だという。
ユナイテッド航空でもパイロットをしていたアイマーは本誌にこう語った。「この写真によると、エンジンも部品も足りないので古いロシアの航空機のものを再利用しているのだろう」
「明らかにどの飛行機も退役したジャンク品で、この場所は廃品置き場といったところだ。業界内では飛行機の墓場と呼ばれている」