最新記事

フィギュアスケート

【順位予想】北京五輪フィギュア団体、日本はカナダと銅争い メダル獲得のポイントは「アイスダンス」

2022年2月2日(水)16時30分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)

そこで重要になるのが、①交代権を使うか、②男子個人戦が団体決勝2日後という事情、③選手のコンディション(怪我の状況)、④アイスダンスの順位、⑤決勝に進む5枠目の国はどこか、です。

①の交代権とは、複数の候補選手がいる種目では、各チームは最大2種目まで予選と決勝で選手を交代できる権利です。たとえば、日本チームには男子と女子の代表選手が3人ずつ、ペアとアイスダンスは1組ずついるので、男子と女子で交代権を使うことができます。決勝進出チームは、予選のポイント次第で「交代権を使わずに、予選、決勝ともエースを使う」「メダルの見込みが薄くなったので、個人戦に集中させるために決勝ではエースを使わない」などの駆け引きをします。

団体戦の展望を、②から⑤の説明を織り交ぜながら予想しましょう。


精密なメダル予想を行うために、出場10カ国・地域の全選手の21-22年シーズンベストを書き出し、その選手が出場した場合の想定順位と獲得ポイントを計算しました。なお、羽生結弦選手とチェコのペア選手は、今季はシーズンベストが認められる大会には出場していないので、20-21年のものを使いました。団体の順位予想では、全ての選手がシーズンベストに近い点を取ると仮定します。(記事の最後に表を掲載)

予選の展望

予選は、1種目で得られるポイントが1ポイントから10ポイントまでと格差が大きく、演技の失敗があると一気に獲得ポイントが下がるため、エース、あるいは最も安定している選手が選ばれる傾向があります。日本男子は全員、個人戦でメダル候補になる実力があるため、疲労を避けるために交代権を使うと考えられています。ショートプログラムで最も確実に高得点を取れそうなのは羽生選手ですが、羽生選手と宇野昌磨選手は怪我が治ったばかりです。女子は、予選と決勝で坂本花織選手と樋口新葉選手が交代するか、坂本選手が予選・決勝とも出場すると予想されています。

日本にとって最良の展開は、男子がアメリカに勝って1位、女子がロシアに続き2位、ペアがロシア、中国に続き3位、アイスダンスが同程度の実力を持つドイツとジョージアに勝って8位になることです。同時にカナダにとって最悪の展開が起きると、男子、女子、ペアで同程度の選手たちに競り負けて、それぞれ7位、5位、5位。得意のアイスダンスでは、怪我の影響が心配されるロシアの世界チャンピオンが登場し、実力が均衡するアメリカにも後塵を拝し3位になります。

この場合、予選は1位ロシア(38点)、2位アメリカ(33点)、3位日本(30点)、4位カナダ(24点)、5位中国(20点)になります。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中