最新記事

テロ組織

指導者が一人死んでも、イスラム国の分派はこんなにある

Other ISIS Factions Still Pose Threat to U.S. After Leader Dies During Raid

2022年2月4日(金)16時06分
アレックス・ルーハンデ

大サハラのイスラム国

「大サハラのイスラム国(IS-GIS)」は、ブルキナファソ、マリおよびニジェールの一部地域で活動を展開している。前指導者はアドナン・アブ・ワリド・サフラウィ。2017年に米兵4人とナイジェリアの兵士4人を死亡させた攻撃を率いた人物だ。アドナン・アブ・ワリド・サフラウィは2021年8月にフランス軍の部隊によって殺害されたが、同組織は現在もプレゼンスを維持している。

イスラム国西アフリカ州

ナイジェリアとチャドの国境地帯にあるチャド湖流域で活動している「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」は、2016年にボコ・ハラムの分派組織として創設された。ボコ・ハラムは、2014年にナイジェリアで女子生徒276人を拉致した事件で知られる。

前指導者のアブムサブ・バルナウィは、2021年10月にナイジェリア軍の部隊によって殺害されたが組織は活動を続けており、2022年1月にナイジェリア軍の駐屯地が攻撃を受けた事件で犯行声明を出した。

イスラム国中央アフリカ州

「イスラム国中央アフリカ州(IS-CAP)」はISの分派で、ジョーンズによれば2つのグループに分けられる。一つは1990年代後半に創設され、今後民主共和国を拠点とする「ADF(民主同盟軍)」。もう一つは、主にモザンビークを拠点とする「アフル・スンナ・ワル・ジャマア」だ。

「アフル・スンナ・ワル・ジャマア」(ASWJ)は,モザンビークのイスラム教団体から,同国北部でのイスラム法による統治を目的として2000年頃に分派した組織とされる。

「彼らはウガンダで実行された、複数の大規模爆撃に関与している。2021年11月16日に首都カンパラで起きた連続爆発事件もその一つだ。この事件では、ウガンダの議会議事堂内にいる治安部隊が狙われた」とジョーンズは本誌に語った。

脅威としてのIS

米国務省テロ対策局は、これらの勢力に加えて「ISバングラデシュ」「ISフィリピン」「シリア・イスラム国」「ISシナイ州」を外国テロ組織に指定している。

ジョーンズは、ISILとIS-K以外の組織については、アメリカに差し迫った脅威をもたらすことはないだろうと予想する。しかしながら、アフリカ東部などの米大使館が攻撃される事態が「まったくあり得ない訳ではない」とも警告する。

「フランスをはじめとするヨーロッパの多くの政府が、テロリズムがヨーロッパを浸食していく可能性を懸念している」と言う。「だがアメリカに関して言えば、少なくとも現時点では、外部からの攻撃の可能性は限定的だ」

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察、ソウル市長を在宅起訴 政治資金法違反

ビジネス

中国の輸出規制強化、欧州企業3割が調達先変更を検討

ビジネス

利上げ含め金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべ

ワールド

香港火災、警察が建物の捜索進める 死者146人・約
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中