最新記事

フィギュアスケート

北京五輪フィギュア女子、名演技に見る日本代表3選手の個性

2022年1月6日(木)10時55分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)

2つ目は、2017年全日本選手権SPの「月光」です。3本のジャンプを基礎点が1.1倍となる後半に固めて、曲の盛り上がりとともに次々に成功させ、自己ベストとなる73.59点をあげ首位となり、瞬く間に五輪候補に名乗りをあげました。

3つ目は、2018年四大陸選手権のFS「アメリ」です。ジュニアからシニアへの移行で「大人の演技」を目指した坂本選手は、FSでパントマイムなどの独特の動きが詰まった難しいプログラムを選択します。平昌五輪の1カ月前の本大会では、全日本からさらに進化した姿を見せてSP、FSともノーミスで優勝し、オリンピックに繋げました。

樋口新葉選手(21)──情熱的な表現に注目、「パワーガール」の倍返しに期待

SP「Your Song」、FS「ライオンキング」

2018年世界選手権の銀メダリスト。前回の五輪選考では、全日本選手権で4位となり、あと一歩のところで選ばれませんでした。「これから倍返しの始まりだ」など、時には強い言葉をSNSで発信して、自分を奮い立たせて4年間練習を積んできました。今回の五輪選考では、3回転半ジャンプを演技に組み込んできました。海外の解説者に「パワーガール」とあだ名を付けられるほどのパワフルなスケーティングと、情熱的な表現に定評があります。

今シーズンのプログラムは、羽生結弦選手の「SEIMEI」などで知られるシェイ=リーン・ボーンさんが振り付けました。

SPは、もともとは別の曲を用意していましたが、8月に変更しました。静かなボーカル曲なのでともすれば退屈な演技になりがちなのですが、樋口選手はメリハリを付けて流れよく踊り、見る者の気を逸らせません。細かい音まで拾ったニュアンスや表情も見どころです。

いっぽうFSは、「今までやってきた振付や踊りが詰まっているようなプログラムで、最大限に自分の良さを活かせるプログラムだ」と樋口選手は語ります。大きく身体をつかった印象的な振付が、表現力をさらに際立たせます。加えて、2020年の四大陸選手権から実戦に組み入れてきた冒頭の3回転半ジャンプも、今季は成功率が増していて、注目ポイントです。

樋口選手の代表的な演技の1つ目は、2014年JGPドイツ大会のFS「ピアノ協奏曲(ガーシュウィン)」です。この時はノービスからジュニアに上がったばかりの13歳ですが、すでに緩急を付けた演技で、スピードに乗ったスケーティングを見せています。この大会ではSP、FSとも1位になって、JGPシリーズでの初優勝を成し遂げました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政府が温室効果ガス「危険性認定」取り消し提案、温

ビジネス

日産、メキシコの生産拠点見直し シバック工場25年

ビジネス

米ボーイング、4─6月期は赤字縮小 航空機生産の回

ビジネス

米スタバ、4─6月売上高が予想上回る 中国で需要改
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 3
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経験豊富なガイドの対応を捉えた映像が話題
  • 4
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 5
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 9
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 10
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 1
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経験豊富なガイドの対応を捉えた映像が話題
  • 4
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 5
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 6
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中