クリスマス決行か中止か、オミクロン株爆発で土壇場の決断を迫られる欧州各国
Global COVID Surge Before Christmas Puts Governments in Tight Spot
これまでの証拠からは、オミクロン株は重症化するケースが少ない(科学者たちはまだ結論を下すのは早すぎると警告しているが)可能性があるものの、ワクチンによる予防効果が低い可能性があることが示唆されている。
またオミクロン株が従来株よりも「弱い」ウイルスだったとしても、感染者数が多ければそれに応じた入院や重症例が出て医療システムのひっ迫を招く可能性はある。イギリスでは、デルタ株に代わってオミクロン株が主流になってから1週間で、感染者の数が50%増加した。
英国医師会は、さらなる制限措置を導入しなければ、クリスマスまでにイングランドの国民保健制度(NHS)の医師や看護師など5万人近くが、新型コロナに感染して現場に出られなくなる可能性があると警告している。
イギリス政府は、データが示唆するように、ワクチンの追加接種によってオミクロン株の予防効果が高まることを期待しており、18歳以上の全ての人に対して、12月末までに追加接種を行うことを目標に掲げている。サッカースタジアムやショッピングセンター、大聖堂などが臨時の接種会場として使われており、19日には90万人以上に対して追加接種が実施された。
従業員が感染して閉店の店や公共施設も
アメリカのワクチンメーカーであるモデルナは20日、研究室で行った実験で、モデルナ製ワクチンの追加接種により、オミクロン株の発症予防効果が高まるという結果が示されたと明らかにした。ファイザーも同様に、実験によって追加接種でオミクロン株を防ぐ抗体の量が大幅に増えたと明らかにしている。
しかし多くの科学者は、ワクチンの追加接種だけでは不十分で、より厳しい措置が必要だと指摘している。
ドミニク・ラーブ英副首相は、20日の閣僚会議に先立ち、今週中に新たな制限措置が発表されることもないとな言えないと述べた。英政府の閣僚たちは、年末年始の集まりを制限する強制力のないガイダンスから、ソーシャルディスタンス確保の義務化や飲食店の夜間営業禁止に至るまでの、複数の選択肢を議論している。
イギリスでは、オミクロン株の感染者数が2日おきに倍増する勢いで、それがクリスマス商戦に大打撃を与えている。
普段なら人で溢れかえる劇場やレストランは、相次ぐキャンセルに見舞われている。一部のレストランやパブは、病欠または自主隔離中のスタッフが多いために、休暇明けまで閉店を決めている。ロンドンの主要な観光名所のひとつである自然史博物館は20日、「接客を担当するスタッフの不足」を理由に1週間の休館を発表した。