クリスマス決行か中止か、オミクロン株爆発で土壇場の決断を迫られる欧州各国
Global COVID Surge Before Christmas Puts Governments in Tight Spot
オミクロン株が広がるオランダでロックダウン前日に駆け込みで買い物をする人々(12月18日、ナイメヘン) Piroschka van de Wouw-REUTERS
<オミクロン株の感染拡大で新規感染者数が次々と過去最多を更新するなか、オランダはクリスマス前から年明けまでのロックダウンを決めたが、他のほとんどの政府は2年連続のクリスマス潰しには及び腰だ>
クリスマスが目前に迫るなか、世界中の国々が来るべき新型コロナウイルスの感染爆発に身構えている。
アメリカとヨーロッパ諸国では、新たな変異株「オミクロン株」による感染例や入院例が増えている。専門家によれば、クリスマスの到来で状況がさらに悪化する可能性がある。それでもジョー・バイデン米大統領をはじめとする一部の指導者は、強制措置や制限措置の導入に消極的だ。
米ハーバード大学の疫学者で、2020年にパンデミック対応についてスペイン政府に助言を行ったミゲル・ヘルナンは、「制限措置の導入時期が早いほど、施行期間は短くて済む」と指摘。各国政府がクリスマス前に強制力のある措置の導入をためらう気持ちも理解できるが、パンデミックを終息させるためには、きわめて重要だと述べた。
ドイツのノルトライン・ウェストファーレン州首相であるヘンドリック・ブストも同じ考えで、同州ではクリスマス後に、規制を強化する可能性があると警告した。
「残念だが今回の冬も、新年を祝う大規模なパーティーは無理だと思う」と彼は12月20日に記者団に語った。「オミクロン株が出回っるなか、気を緩めることは許されない」
医療現場は既に「極限状態」
既に制限措置が導入されているところもある。イギリスではボリス・ジョンソン首相が、レストランやクラブなどの公共スペースでのマスク着用を再び義務化。新型コロナワクチンの接種会場も増やし、「打ち手」を増やすために経験のあるボランティアの募集も行っている。だがこうした措置も、各地が直面しているスタッフ不足の解決にはならないと、英国看護協会のパトリシア・マーキスは強調する。
「多くの医療現場で、スタッフは既に大きなストレスとプレッシャーにさらされている。体調を崩す者も出始めており、その原因には新型コロナの感染だけでなく、精神的・物理的な極度の疲労もある」とマーキスはBBCのインタビューで語り、さらにこう続けた。「だから彼らは今、この先いったいどうなってしまうのかと考えている」
イギリスでは、オミクロン株の流行により感染者数が過去最多の水準を記録しており、政府に対して新たな制限措置を導入するよう圧力がかかっている。英国看護協会は20日、医療スタッフの間に極度の疲労を訴える者や新型コロナに感染する者が増えており、それが彼らを極限に追い詰めているという警告を発した。
この警告は、ジョンソンが直面している厳しい選択を改めて浮き彫りにした。2年連続で国民のクリスマスの計画を潰すか、それとも感染者数が大幅に増えて混乱が生じる可能性に直面するかという選択だ。