オミクロン株で初の死者確認 「弱いウイルスという先入観」が危険なワケ
First Omicron Death Reported As Cases of COVID Variant Explode
オミクロン株は軽症で済むという先入観を捨てるべきだと警告したジョンソン首相Jeremy Selwyn/Pool via REUTERS新型コロナウイルス
<感染者の多くが軽症で済むことよりも感染拡大のペースに注目すべきとジョンソン首相>
ボリス・ジョンソン英首相は12月13日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に感染した1人が死亡したと発表した。イギリスでオミクロン株による死者が確認されたのは、これが初めてとみられる。
ジョンソンはロンドンで記者団に対して、「悲しいことに、オミクロン株に感染して少なくとも1人が死亡したことが確認されている」と説明。オミクロン株がそのほかの変異株よりも軽症で済むという考え方は捨てて、感染拡大ペースの速さに注目するべきだと述べた。
イギリスでは13日、オミクロン株に感染した10人が入院していることが分かった。サジド・ジャビド保健相がスカイ・ニュースに対して明らかにしたものだ。英保健省によれば、イギリスで13日までにオミクロン株への感染が確認された人の数は、4713人にのぼっている。
過去数週間の間に、南アフリカからの初期のデータを参考に考えると、オミクロン株はデルタ株よりも軽症で済む可能性があるという報告が複数出ていた。しかし科学者たちは、まだそのように判断するのは早すぎると警告していた。
WHO「弱いウイルスと決めつけるのは早計」
今回イギリスで報告された死亡例は、オミクロン株感染者として世界で初めて確認された死亡例のようだ。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、12日の時点では、管轄地域で「オミクロン株関連の死亡例は報告されていない」と述べていた。
米疾病対策センター(CDC)はこれに先立つ10日に発表した報告書の中で、12月1日から8日の間にアメリカで確認されたオミクロン株の感染者43人について、「これまでのところ死亡例は報告されていない」としていた。
10日にはファクトチェックサイト「スノープス」が、WHO(世界保健機関)から、オミクロン株による死亡例はこれまでに1件も報告を受けていないと聞いたことを報告していた。
だが、オミクロン株関連の死亡例は過去にもあったのに、そうと正式に認められなかった可能性はある。
WHOの新型コロナ対策技術責任者であるマリア・ファンケルクホーフェは12月上旬、英科学誌「ニュー・サイエンティスト」とのインタビューの中で、オミクロン株について「(毒性が)弱い」と言及するのは早計だと警告。感染が広まれば「死者は出るだろう」と述べた。